[木庵禅師物語]vol.23 隠退後の日々
慧林和尚に黄檗山第3代住持の席を継がさせられ、隠退されたとはいえ、それは名だけのことで、1日として安逸をむさぼられることなく坐禅され、また禅の悟りを求めて訪ねてくる者には親切に禅の真の姿を披露して接化されました。そして日々の定められた清規(禅寺の規則)は自分できちんと守られ、たとえ急がしくて暇がないときでも、規則にはずれるような行いはされませんでした。禅師の気力は老いてますます盛んで余裕綽綽として衰えることがないようにみえました。
天和2年の冬、坐禅されていてその後で風邪を引かれました。なにぶんにも御年寄りのこととて病状が一時悪化いたしましたが、年が明けるとともに病も快方に向かいましたので、茶の会を催されて、泊りがけで詰めておられた和尚方に自分の寺や持ち場に帰るように促されました。
出典:木庵禅師物語
発行:昭和57年10月