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[潮音禅師物語]vol.9 不遜語

懸魚

隠元禅師のもとでは、毎日が戒律の厳しい修行でしたが、潮音禅師は、負けず嫌いの性格から他の人に遅れをとるということはありませんでした。

ある日、隠元禅師は禅堂に、「六転語」(6つの問題)を掲げ、修行者に見解を答えさせましたが、だれも隠元禅師の心の主旨に叶う答えを出すことができませんでいました。その中で、潮音禅師の三転語についての答えだけが、その心に叶うものだったといいます。

以後、隠元禅師のもとで入室しては問題を重ね、見解の呈示を積まれるのですが、肝心なところになると、言葉の通じないのが障害となっていました。この通訳を通しての問題に耐えられなくなり、「中国の高僧といっても、わたしを認めないのだからしれたものだ、わたしは認められないのみか、かえって愚か者のように扱われた。」と、同輩に不遜な言葉を言い残すと荷物をまとめて興福寺を飛び出してしまいました。

出典:潮音道海禅師の生涯
発行者:潮音道海禅師三百年遠忌大法会実行委員会

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