[潮音禅師物語]vol.19 大慈山小松寺の開山に隠元を奉ず。
寛文11年(1671)11月14日。黄檗山内の松隠堂に隠居されていた隠元禅師は、80歳の誕生日を迎えられました。そこで潮音禅師は、お祝いのご挨拶をされるため、5年ぶりに黄檗山へ登られました。
隠元禅師はにお会いして長寿のお祝いを済まされて、悦山禅師の慈福院に数日宿泊されていましたが、ある日、隠元禅師がわざわざ慈福院に出かけられ遠来を慰められるのでした。
このとき潮音禅師は、弟子の道林に復興させていた、岐阜の大慈山小松寺の話をされ、「大慈山が復興したら隠元禅師をご開山に仰ぎます。また、禅師の御尊像を刻ませて開山堂に安置し、朝夕礼拝してご恩にお報いしたい。」とお話されますと、「日本に来てから弟子たちの中で、これまで私の像を造ってくれたものはいない。お前のような孝行者の法脈は尽きることがない。」とたいへん喜ばれ、喜びを記した偈と、「萬徳法中王」の五字を書いて授けられたのでした。
出典:潮音道海禅師の生涯
発行者:潮音道海禅師三百年遠忌大法会実行委員会