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[潮音禅師物語]vol.20 塔頭緑樹院を開く

黄檗山緑樹院

土井大炊頭利重の夫人(緑樹院殿)は、肥前佐賀の鍋島光茂候の息女で仙姫と呼び、14歳でお嫁入りされた方でした。

このとき17歳でしたが、「儂と同国ということでよしみをもたれた。若いながら信仰心があつく、時々人を遣わしては仏法を尋ねられた。」と潮音禅師も書き残されています。しかも、若いながら有名な「葉隠」にも女大夫として登場しているのです。

その夫人が寛文12年6月、23歳で亡くなられますと、日頃護持されていた観音菩薩とお金が潮音禅師のもとに届けられました。潮音禅師は「不幸なことに子供もいないので、後で一院を造ってご冥福をお祈りしなければ。」と、周囲のものにもらされたのでした。

そして、木庵禅師にお願いして黄檗山中に塔院地をいただくと、夫人の大祥忌(3回忌)に実弟の松平綱茂候(活水居士)が資金を出されて堂宇を建てられました。そこに本尊として観音菩薩を安置し、「緑樹院」の額を掲げて夫人の冥福をお祈りすることになりました。

出典:潮音道海禅師の生涯
発行者:潮音道海禅師三百年遠忌大法会実行委員会

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