[潮音禅師物語]vol.15 館林城内で法座
上州館林城は25万石、まもなく5代将軍に就任する綱吉公を領主として、北関東にその威を誇っていました。しかし、城主である綱吉公は江戸城神田館に常住し、館林領は城代家老にまかせていました。
時の城代家老は、金田遠江守正勝といって、たいへん信仰の篤い方でした。寳林寺の噂を耳にされると、城内に呼んで新しい黄檗禅を聞いてみようということになりました。
城内で開かれた法座も極めて好評。二旬といいますから、二十日も続けられたのですが、やがて城代家老の金田遠江守が帰依され、「梅山居士」の法を受けられますと、その他の重役や藩士たちも先を争って帰依することになるのでした。
そして、翌年の秋、再び館林城内で法座が開かれることになります。隠元禅師がもたらした黄檗禅は、寳林寺が起点となり、たちまち北関東一円を風靡することになったのでした。
- 出典:潮音道海禅師の生涯
- 発行者:潮音道海禅師三百年遠忌大法会実行委員会