【レポート】未来の住職塾NEXT 受講録Vol.1
未来の住職塾が帰ってきた!というお知らせが届き、お盆中に願書を提出し、無事に合格。そして、晴れて受講生となり、この度、第1回目の講座を受けてまいりました。(副住職)
第1回目のレポートを簡単にこちらにまとめておきたいと思います。まず、「未来の住職塾」って?という感じだと思いますので、説明から。
未来の住職塾とは
将来に不安を抱えるお寺が増えています。人口減少と過疎化、財政の悪化、信仰形態の変化など、お寺を取り巻く環境は厳しさを増すばかり。法要の参拝者は減り、檀信徒は次世代に引き継がれない…。いまや、お寺も選ばれる時代。檀家制度の限界を自覚すべきタイミングが、平成の終わりとともに来たようです。
しかし、不安を抱えながらの現状維持の継続も、焦りによる場当たり的な行動も、あなたを危険にさらします。時間やお金などが限られた中、お寺と地域社会を次世代へ確実に継承するためには、確かな情報や方法論に基づいた具体的な計画と行動が必要です。
2012年に立ち上がった未来の住職塾。7年間で600を超える寺院が、お寺の本質を守りながら、社会環境の変化に対応した、実現性の高い事業計画を策定してきました。そして令和からは新たに「未来の住職塾NEXT」としてスタートします。
未来の住職塾には、全国各地の塾生がオンライン・オフライン問わず集い、日夜研鑽を深めています。共に汗をかく仲間だからこそ生まれる強いつながりが、あなたの前進を力強く後押しします。ぜひ一緒に、世界を明るくするお寺の「これからの百年」を切り開きましょう!
引用:未来の住職塾NEXT:https://mirai-j.net/
ということです(笑)ばんっ!と引用しちゃったので、なんじゃらほいとなってしまうかもしれませんが、いわばお坊さんの松下村塾のようなものでしょうか。宗派を超えて切磋琢磨し、そこから新たなムーブメントが生まれていく。実際に未来の住職塾の卒業生の方々は各地で活躍されていて、各地でムーブメントが起きています。そして、この卒業生たちのコミュニティというのも非常に有り難いものです。共通言語をもったお坊さんが集まり、「未来」を語るのです。ビジネスの世界だと当たり前かもしれませんが、過去(=歴史)が長ければ長いほど、過去のことを語りがちになってしまうのです。「未来」を語る。非常に楽しい。
スケジュール
そして、塾のスケジュール。全5回の講義で、私は東京会場での参加です。全国各地で学ばれているというのは妙に親近感が湧いてきます。そして、超宗派。いつかはこのNEXT1期生で集まれたらおもしろそうだなと勝手に思っています。
カリキュラム
- • 講義1「方向性を定める」連綿と続く存在価値を確認し、普遍的なミッションを定義する
• 講義2「客観的視点を持つ」マーケットインの視点でビジョンを設定する
• 講義3「リーダーシップ開発」現代社会の宗教者に必要なリーダーシップの基礎を作る
• 講義4「具体化する」現在地と目的地を明確化し戦略を構築する
• 講義5「実現性を担保する」アクションをブレイクダウンし、KPIを設定する
こんな感じのカリキュラムで講義が進みます。幸いにもベンチャー企業で働いていた経験がここでも活きてきています。お寺でこのようなワードが飛び交うことはまずありません。お寺の事業計画を考えていく上でも、そして、ビジネスマンとしても役立つ内容ですね!
受講録Vol.1
ビジネスチャットツール「Slack」
さてさて、はじまりました。第1回目。その前に普段仕事ではものすごい頻繁に使っているSlackですが、そのSlackがお坊さん同士で使われるという新鮮なことがまず起こります。いわずとしれた、「Slack」。Slackとはなんぞやという方はこちらから。
お坊さん同士がSlackを使ってやり取りする日が来るとは、住職塾にはいるまで思いもしませんでした(笑)こうして在る種の強制力が働くと、少しずつアップデートされていき、よりこのレガシーな業界にも少しずつ風穴が空いていきそうな気がします。
未来を語る
「未来」を語ること。このことはベンチャー企業に勤めていると至極当たり前に起こり得て、そして、誰も楽しそうにその未来像を語ります。ですが、フィールドを変えて、お坊さんという世界になるとこのことがなかなか起こりえません。不思議なものです。未来の対義語は「過去」ですが、その過去があまりに長い時間軸であるからかもしれません。過去は歴史でもあります。
歴史が200年、300年とあるお寺は日本中そこらじゅうにあります。300年といっても対して昔に聞こえないぐらいです。そんな背景ではありますが、お坊さんは本来、その歴史を背負い、「いま」を生き、「未来」を見据えなければなりません。そのバランス感覚というのが非常に大事なのでしょう。過去、歴史に学ぶことはたくさんあります。ですが、そこだけ見ていてはいけない。そんなことを強く感じました。そしてなにより、「未来」を語ることは楽しい!
適者生存
- 最も強い者が生き残るのではなく、
- 最も賢い者が生き延びるのでもない。
- 唯一生き残るのは、変化できる者である。
- ダーウィン「進化論」
この有名な言葉がありますよね。この解釈はいろいろあるにせよ、「生き残れるのは、変化できる者である。」という時代がある種、お寺業界にも(やっと)きたのであろう、と思うようにもなりました。江戸から明治の変遷、文明開化。戦後のGHQによる改革、お寺も時代に翻弄され、衰退し、繁栄し、を繰り返してきました。ですが、大きくみれば「強者生存」(強者かどうかはさておき、ある程度生存できた)の原理の中にあったような気もします。しかし、これからはどうでしょうか。このままでいいのだろうか。そんな疑問を持ちつつ、それぞれのお寺ではどうしたらいいのか、そんなことをみんなで考えています。変化はしなければならない。ですが、変えてはいけない部分もある。どこをどのように変え、適者となりうるのか。そんな答えのない問いを考えていきます。外部環境、内部環境、さまざまな角度から客観視し、自己相対化する。お寺の住職はたいていのことは自らの意思で進めていかなければいけない。何度も何度も反芻し、自助努力を重ねることができなければ、選択を間違え、「変えてはいけない」ものを変えてしまうかもしれない。そうならないようここで訓練をするんだな、と第1回目では感じました。
さてさて、肝心要の講義の内容は非常に学び大きものでした。ここであーだこーだ公開はできないので、詳細は記載しませんが、お坊さんという立場として受講しつつも、ビジネスマンという側面でも受講している感じで、まだ1回目とはいえ実り多き時間となりました。次回も非常に楽しみです。また、次回の講義後、レポートを書きたいと思います。
みなさま、ご苦労さまでございました!
合掌