[木庵禅師物語]vol.22 住持を隠退される
70歳を迎えられた延宝8年の正月3日、黄檗山の和尚方は御斎を設けて木庵禅師のお誕生日に先立ってお祝いをされました。木庵禅師は皆の願いをききいれられて法堂に上り、 「寿生」の二字を主題にして説法されました。
15日、冬の修行期が無事終わりますと、太鼓を打って一同を集め、黄檗山住持辞退の説法をされ、紫雲院に隠退されました。最初黄檗山の住持は3年に限っての輪番制でありましたが、隠元老和尚は寛文5年幕府に申し上げ、輪番制を取りやめ、木庵禅師の独住とされました。それにしても17年間という前後に比を見ない住持としてのご日常は筆舌に尽くせないものがありました。黄檗山の伽藍を整備され、黄檗の禅風が全国に風靡し、木庵禅師の傘下からすぐれた禅僧が輩出して関東に、近畿に、九州にそれぞれ活躍したのは木庵禅師がいかに優れた禅匠であったかを物語っております。
出典:木庵禅師物語
発行:昭和57年10月