[木庵禅師物語]vol.18 大雄宝殿建つ
寛文7年5月、将軍家から2万両と南海地方の木材チークが下賜され、仏殿を建てることになりました。青木甲斐守が黄檗山内に不二庵を新築してここに住まわれ、工事の監督にあたられました。翌年、大雄宝殿(仏殿)の建築にとりかかり、3月25日棟上げ式があり、木庵禅師は香を焼いて祈られました。広さ13間、深さ11間というすこぶる大きな伽藍でした。つづいて天王殿、斎堂(食堂)、鐘楼、伽藍堂、祖師堂も次々に建てられました。
12月8日、これらの建物もほぼ竣工しましたので7日間の法要を行い、上堂説法して感謝の情を披瀝されました。また明くる年の3月、江戸に下って建物が目出度く竣工した御礼を幕府に言上されました。江戸では黄檗山開創に大功のあった大老酒井空印大居士の法要をすまされ、老中稲葉公を始め諸大名の私邸に招かれて説法されましたので、1ヶ月余り江戸に滞在されました。
出典:木庵禅師物語
発行:昭和57年10月