[木庵禅師物語]vol.17 江戸へ下られる
寛文5年春、木庵禅師によって三壇戒会(当時、黄檗の独特な受戒の式)が開かれました。これを機に甘露堂が東方丈の後方に創建され、禅堂の修復、石畳を弾いた道路、2つの倉庫などが建てられました。
7月20日、幕府から呼び出しがありましたので、初めて江戸へ下られ、黄檗山住持になられたご挨拶を述べられました。途中浜松では法弟の独湛和尚を訪ねられ、江戸に着かれてからは天澤寺を宿泊所とされました。木庵禅師が江戸に出てこられたという評判がたちますと、多くの人たちがひと目でもよいから木庵禅師にお会いしようと押しかけました。
江戸城に入られてから老中稲葉美濃守、将軍の生母桂昌院大夫人などに法語を書いて示されました。9月28日、2度目の登城をすませ帰途に着かれました。小田原では鐵牛和尚にお会いになって、無事黄檗山に帰られました。
出典:木庵禅師物語
発行:昭和57年10月