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[木庵禅師物語]vol.6 金色の蓮の花

蓮の花

ある日の夕暮れ、坐禅をしておられますと、にわかに金色の蓮の花から何ともいえない香りが漂って来て弥陀庵いっぱいにあふれ、木庵禅師の身も心も晴れ晴れとし身体中から白い汗が雨のように噴き出して来ました。木庵禅師が、これは決して仏の境涯ではない、悪魔のしわざだと覚えられますと、今までの金色の蓮の花はさっと消えてしまい、香りも失せてしまいました。このような不思議な光景は、心にそう想うからそのような幻が生まれる、心の妄想に過ぎぬのだと知られました。

 開元寺では、崇禎8年、鼓山の永覚和尚を住持としてお迎えしました。木庵禅師は、早速、永覚和尚と禅の問答をされましたが、宗のなかの疑問の塊は大きくなるばかりで、坐禅していても、夜中にふと目が冴えてきて、不安になって落ち着きませんでした。このもやもやを解決しようと、26歳の秋、行脚(修行の旅)に出られました。

出典:木庵禅師物語
発行:昭和57年10月

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