威光
令和七年、三百有余年の時を超えて往時の威厳ある姿を
取り戻しました。この像は、延宝五年、五代将軍
徳川綱吉公が館林藩主であった時代に開創された
萬徳山廣済寺の仏像として誕生し、後に
潮音道海禅師との縁により宝林寺に請来されました。
お釈迦様の遺骨を捷疾鬼から取り返したという伝説から、
俊足の護法神として知られる韋駄天。その像は、
永きにわたり宝林寺の本堂を静かに見守ってきました。
しかし、長い歳月の中で両腕や宝杵、台座は失われ、
その御姿は大きく損なわれていました。
今回の修復では、内部構造や彩色層の調査により、
当時の高度な造像技術が明らかに。
造像時の手本とされた、四代将軍徳川家綱公が
開創した大本山萬福寺の韋駄天像を参考に
再現が進められ、失われた部分が丁寧に補われました。
修復
蘇った韋駄天像は、合掌した腕に宝杵を横たえる「静」の姿をとり、仏法を守護する安らぎと気高い緊張感を湛えています。鮮やかな彩色は黄檗宗特有の異国的な造形美を際立たせ、これほど大きな黄檗様式の韋駄天像は国内でも大変稀有であり、江戸期の国際的な文化交流を物語る極めて貴重な存在です。この度の修復は、単に形を復元するだけでなく、幾多の災禍を乗り越えてきた宝林寺の歴史と、そこに宿る人々の祈りの記憶を未来へと繋ぐ営みです。凛として立つその御姿は、黄檗文化の美と精神を現代に伝え、未来を照らす確かな光となることでしょう。


伝説
韋駄天
韋駄天は、もともとはヒンドゥー教(バラモン教)の神である「スカンダ」が仏教に取り入れられた、仏法を守護する護法神の一尊です。韋駄天が特に「俊足の神」として知られるようになったのは、お釈迦様が入滅された際の有名な伝説に由来します。お釈迦様のご遺骨である「仏舎利」が、八人の王によって分配されようとしたその時、捷疾鬼という非常に足の速い鬼が、その仏舎利の一つを盗んで逃げ去ってしまいました。 神々が嘆き悲しむ中、韋駄天がその驚異的な速さで捷疾鬼を追いかけ、瞬く間に追いつき、仏舎利を無事に取り戻したとされています。
この伝説から、韋駄天は仏法のみならず、仏舎利(=大切なもの)を守る盗難除けの神、さらには非常に速く走る者やその様子の代名詞となり、「韋駄天走り」という言葉が生まれました。
修復記念
特別授与
特別切り絵御朱印(限定数)

この度、三百有余年の時を経て大修復を遂げられた韋駄天像。その荘厳なるお姿が、令和七年の記念すべき年に蘇りました。これを慶祝し、御尊像の威光を限りなく写し取った、特別な「切り絵御朱印」を奉製いたしました。

徳川綱吉公にも縁深きこの御尊像は、黄檗伝来の霊宝であります。 お釈迦様の仏舎利を守り抜いた「俊足の神」としての伝説、そして「御馳走」の語源ともなった護法神としての篤き信仰。その力強さと慈悲に満ちたお姿を、今、紙上に見事に再現いたしました。

韋駄天像が纏う甲冑の精緻な装飾。御尊像の随所に散りばめられた吉祥の意匠。躍動するお姿の要所には、春の息吹を告げる「梅」と、天を舞う「鳥」の姿が。さらには護法神としての力強さを示す「獅子」が息をのむほどの細やかさで彫り込まれています。
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【ハードカバーセット】特別切り絵御朱印(限定数)

御朱印と銘文が一体となる、特別な授与品。この度の大修復を記念し、「特別切り絵御朱印」。その御尊像の威光と、三百有余年の奇跡を、永くお手元で大切にお祀りいただくため、専用の特製ハードカバーをご用意いたしました。

表紙には、紫紺の地に、黄檗宗由来の「黄字崩し紋」を厳かに配しました 。黄檗専門法衣店に伝わるこの特徴的な意匠を配することで、黄檗らしさを演出します。

カバーを開くと、右頁には「韋駄天像 切り絵御朱印」を厳かに納めることができます。 そして左頁には、第四十六代住職 宗弘明径 による特別な銘文が記されています。この銘文 と切り絵御朱印とが一体となって初めて、今回の修復記念の授与品は真の完成を迎えます。
精緻な切り絵御朱印を、住職の祈りが込められた銘文 と共なる専用ハードカバーに納める。その行為こそが、幾星霜の時を経て蘇った韋駄天像 への篤い敬意と感謝の心を表す、最上の形となります。これは単なる記念品ではなく、御尊像の威光をご家庭にお迎えし、日々の暮らしの中で「未来永劫の祈り」を捧げ続けるための、あなた様だけのお守りです。ぜひこの機会に、御朱印とハードカバーをセットでお受けいただき、韋駄天尊との篤きご縁を末永くお結びください。
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