[木庵禅師物語]vol.24 病危篤となる
天和4年1月10日、京都所司代稲葉公に侍者を使いに出されて、永い間黄檗山のために尽力していただいたお礼を述べさせられました。13日になるとにわかに病がぶり返し、皆で秘かに医者を招いて診断を受けられるようお願いしましたがお許しにならず、「どうもこんどの病気は医者では治らぬようだ」といって、断られました。
18日、木庵禅師は自分の病がいよいよ危篤状態にはいったことをさとられ、左右に付き添っているものたちを顧みて、「私がこの世を去ったならば、お前たちは仏が決められた規則にそむくことがあってはならぬ。ただひたすら仏教が栄えるようにと心がけ、祖師方が歩まれた禅の道をしっかり守ってゆくことこそ私がお前たちに最も望むところだ」と言い渡されました。
出典:木庵禅師物語
発行:昭和57年10月