黄檗事典
黄檗事典
黄檗にまつわる言葉や表現、禅宗で使われる言葉や表現をまとめました。すべてを網羅することは困難ではありますが、言葉や表現を見つけ次第、随時追加予定です。なお、本事典の内容は黄檗宗慧日山永明寺「黄檗宗のことなら何でも分かる事典」より一部引用させていただいております。
名称 | ふりがな | 意味 |
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挨拶 | あいさつ | 挨は「迫る」、拶は「切りこむ」こと。師匠と弟子との問答のやりとりのこと。今では日常語にもなっている。 |
鞋子 | あいし | 修行期を終え、暫暇挨拶にきた雲水に渡す心付けの儀袋の題簽(だいせん) |
網代笠 | あじろがさ | 行脚や托鉢のときに用いる。 |
阿羅漢 | あらかん | 羅漢は略称。一切の煩悩を断滅し、なすべきことを完成した人。 |
行脚 | あんぎゃ | 広く諸方に師匠を求めて旅をすること。 |
安居 | あんご | 釈尊の時代に、雨季の期間は無益の殺生を避けるために、一ヵ所に止住して修行したことを安居という。現在の僧堂では、年中「安居」であるから、夏に限らず一年を二期に分け、二月から七月までを雨安居、八月から一月までを雪安居という。 |
安単 | あんたん | 自分の坐禅する場所に着座すること。 |
唵唖吽 | あんやほん | 唵唖吽とは「三字咒」とも言われる真言である。宗門で用いる施餓鬼経本「瑜伽焔口科範」の中に幾度となく出てくる。口伝では、「み仏の教えを理解しました。帰依します。」の意とされるが、出典は不明である。 |
行録 | あんろく | 祖師の行状をしるした記録。 |
伊雑宮事件 | いざわのみやじけん | 潮音道海禅師が著した大成経が偽作と断定され、潮音ほか、関係者が断罪された事件をいう。この事件は 三重県志摩市磯部町にある式内論社・伊雑宮に関することが記されていて、その内容の真偽を巡って事件となったことから、こう称された。 この際、潮音は、五代将軍・徳川綱吉の母・桂昌院から深く帰依されていたことから減刑され、謹慎50日の刑に服することになった。 |
石槻 | いしつき | 魚梆を敲く僧の足下付近に敷かれた50㎝四方の石板の名称。開板を敲く直前、僧はバイを一旦床の石槻に垂直に落とす形で突く。この時、バイは落とした反動で跳ね上がり、その余勢を借りて開板を敲く。 |
韋駄天菩薩像 | いだてんぼさつぞう | 韋駄天菩薩は、増長天の部下にあたる勇猛果敢な将軍の一人とされている。韋駄天菩薩は、足が速いとされ、法の守護神として境内を荒らし回る者を見張る役目を担っているところから、本堂を見守る形で置かれているのだという。 |
一味禅 | いちみぜん | 恵極道明禅師が、黄檗派の持戒禅について分かり易く解説した法語の題。 |
一箇半箇 | いっこはんこ | 「一人でも半人でも」との意。きわめて少数のこと。 |
一炷 | いっしゅ | 炷というのはもともと線香などを数える数詞に添える語で、香の一くゆりという程の意。現在では線香一本の燃えつきる時間、約四十分間を一炷という。「いっちゅう」とも読む。 |
五つ止め | いつつどめ | 読経時に止めの合図をする鳴り物の打ち方。 |
威徳殿 | いとくでん | 黄檗山開基の四代将軍徳川家綱公(戒名・厳有院殿贈正一位相国公)をはじめ徳川家歴代将軍を祀るために万福寺山内に建てられた堂宇。 |
維那 | いの | 「いのう」とも読まれる。衆僧の綱紀を司る役で、修行僧の手本となり、皆が和合するように務める役位。山内法要の総指揮を担当し、触書を作成する。 修行者の指導、読経の読み出し、題目や回向文を読み上げること等を行い、全員の調和を計ることが重要な責務である。 |
維那 | いのう | 法要のとき、誦経の先導や回向文を諷誦する係。 |
印可 | いんか | 印信許可。師が弟子に法を授けて、弟子が法を得て悟りを開いたことを証明認可すること。 |
引磐 | いんきん | 直日が大衆の行動を指示するのに用いる「鳴らしもの」の一つ。 |
引磬 | いんきん | 鳴り物法具の一つ。柄のついた小さな磬で、音色の違う2個を一組として用いる。2個の内1個は大引磬と呼び、高音(チン)で鳴る。 小引磬は低音(ツン)で鳴り、音色の相違があるものを一組として求める。これが、黄檗梵唄の音楽性を華やかなものにしている。 |
隠元門下二傑 | いんげんもんか | 宗祖隠元禅師法嗣は24人いたが、日本に渡来した中でも木庵性瑫、即非如一禅師の二人は二甘露門とも二傑とも称された。 |
隠侍 | いんじ | 師家に直接つかえ日常の世話をする侍者。 |
陰徳 | いんとく | 人知れず大衆のためになることをして、徳を積み心力をたくわえること。 |
影壁 | いんぴー、えいへき | 「えいへき」とも呼ぶ。中国建築様式の特色である魔除けの壁で、玄関から侵入してきた邪鬼が主用建物に近づけないように配慮した一種の防護壁をいう。邪鬼はまっしぐらに壁に突進、激突し、ただ立ち去るほかなく、智恵有る者のみが山門に至るとされている。黄檗山の場合、山門から法堂まで主要建物が一直線にならんでいることから、総門の位置を中央線上からわざとずらした位置に配置していて、この総門から進入した正面に土塀が設けられているが、これが影壁にあたる。 |
隠木即 | いんもくそく | 黄檗宗能書家の三人、即ち隠元、木庵、即非の三禅師を言う。黄檗三筆とも称される。 |
隠寮 | いんりょう | 師家または長老の居所。 |
烏枢沙摩明王 | うすしまみょうおう | 不浄を転じて清浄にする徳をもつ神といわれ、東司(便所)の護り神として祀られる。 |
打ち切り | うちきり | 読経の区切りがついたことを、木魚、太鼓、繞鉢等で大衆に知らせる合図のこと。 |
うどん供養 | うどんくよう | うどんをふるまうこと。食事のときは一切音をたててはならないが、このうどんをすする音だけは例外的に許されている。 |
打ち上げ | うちあげ | 鳴り物による法要開始の合図が完了する状態をいう。 |
雲水 | うんすい | 修行僧のこと。行雲流水のように淡々として一処に止往せず、天下に正師を求めて、遍歴する意よりくる。雲衲ともいう。 |
雲衲 | うんのう | 雲水。衲は衣とか、繕うの意。すなわち、破れ衣をつくろって着ている修行僧のこと。 |
雲版 | うんぱん | 雲形をした青銅製の鳴り物法具。主に粥座や斉座の食事時間を報じるほか、朝課等の勤行の触れにも用いる。 |
雲片 | うんぺん | 普茶料理の献立の種類。 料理に使用した野菜の残り物を葛で味付けしたもの。 |
会下 | えか | 一人の師家のもとに教えを求めて集まった修行者の総称。すでに僧堂を巣立った人たちも含めていう。=会中、門下 |
回向 | えこう | 廻転趣向の略。善根功徳を行なって衆生に施すこと。一般には法要、誦経などをして亡者を仏道に入らせることをいう。 |
悦衆 | えっしゅう | 大引磬、小引磬、木魚を担当する役位の呼称。 三悦衆とも云う。 |
衣鉢 | えはつ | 修行者が常に持参している三衣(袈裟)一鉢(食器)のことで、僧の持物の中で最も重要なもの。転じて宗旨、奥義のことをいう。また、伝法のしるしに師の袈裟と鉄鉢を弟子に授けたことから、法を伝えることを「衣鉢を伝える」という。 |
円座 | えんざ | 土間に敷く、藁で編んだ丸い形をした座布団様の敷物のこと。黄檗山はじめ宗門寺院の多くの建物は、中国様式の建築のため堂内は瓦敷きである。このため勤行の際は、立ったまま読経するのを通例としているが、拝をするときや胡跪 の際には、そのままでは衣が汚れることからこの円座を使用する。 |
円成 | えんじょう | 円満に成就すること。十二分に成果をあげて終わること。 |
演浄儀 | えんじょうぎ | 道場を浄める法式。 大般若会、放生会、開眼法要等の場で必ず厳修される法要。 |
園頭 | えんず | 菜園を管理する係。 |
遠鉢 | えんぱつ | 遠方まで托鉢に出かけること。 |
黄字崩し | おうじくずし | 黄檗宗の「黄」の字をデザイン化し、宗紋の様に用いたことからこのように呼ばれ、法衣法服の模様や茶器等の模様として愛用されている。 |
黄檗山小清規 | おうばくさんしょうしんぎ | 享保11(1716)年8月、聖林院の漢嶺沖別禅師が、元禄年間に知客寮にあった原稿を編集し「黄檗清規」を補完するものとして作成したもの。 |
黄檗三祖 | おうばくさんそ | 宗門で特に「徳行」に優れた隠元禅師、「道行」に優れた木庵禅師、「禅行」に優れた即非禅師の三人の祖師方を尊称してこう呼ぶ。 |
黄檗三筆 | おうばくさんぴつ | 書に堪能な隠元、木庵、即非の三禅師を称した語で、隠木即という呼び名で膾炙されてもいる。三人の書にはそれぞれの個性と特徴がある。隠元の「穏健高尚な書」、木庵の「雄健円成の書」、即非の「奔放闊達な書」と評される。 |
黄檗十二景 | おうばくじゅうにけい | 古黄檗十二峰にならって、日本の黄檗山万福寺をめぐる景勝地を十二選し、隠元禅師が命名かつ景趣を叙されたもの。①妙高峰 ②大吉峰 ③五雲峰 ④白牛巖 ⑤青龍澗 ⑥雙鶴亭 ⑦三汲池 ⑧龍目井 ⑨松隠堂 ⑩萬松岡 ⑪中和井 ⑫東林庵の十二景がある。 |
黄檗聲明 | おうばくしょうみょう | 声明とは仏教の儀式・法要で僧の唱える声楽の総称とされているが、宗門内でこの表現を用いることは少なく、梵唄を通称としている |
黄檗清規 | おうばくしんぎ | 享保11(1716)年8月、聖林院の漢嶺沖別禅師が、元禄年間に知客寮にあった原稿を編集し「黄檗清規」を補完するものとして作成したもの。 |
黄檗綴 | おうばくつづり | 宗門法要時の記録綴りは、綴じ紐で仮止めの後、本綴じをするが、その様式方法は定められている。本綴じの方法は、5~6㎝角の正方形の赤紙で綴り紐を隠すようにしながら、三角形状に二つ折りにし、表裏一体に貼り付ける。 |
黄檗脱ぎ | おうばくぬぎ | 宗門内での履き物の脱ぎ方。礼儀作法として教えられる標準的な履き物の脱ぎ方は、「出船式」が一般的である。これらの脱ぎ方に対し、「黄檗脱ぎ」は、「横付け式」ともいうべき宗門独特の作法である。 |
大四九 | おおしく | 十四日と晦日のこと。この日は朝日の射すまで寝忘れ(朝寝)ができ、剃髪後、半日がかりで大掃除をする。午後は私用外出することもできる。 |
折座具 | おりざぐ | 座具は常に左腕に掛けることとされているが、正座する時は、腕から外し、正面に四つ折りにしておくこととなっている。これを「折座具」という。 |
怨親平等塔 | おんしんびょうどうとう | 黄檗山大雄寳殿東横、慈光堂南側に位置する場所に設置された宝筐印塔(供養塔)。戦前から萬福寺には多くの華僑が出入りしていたが、昭和12(1937)年に勃発した支那事変で、多くの戦死者が出たことを憂えた第四十九代玉田管長は、「法華経」69,643文字を一字一石に書き、宝筺印塔に収め冥福を祈ることを発願された。そのことに感激された信者の九鬼悠儼氏とその一族により、昭和19(1944)年に建立されたのがこの「怨親平等塔」である。 |
戒経 | かいきょう | 弘戒法儀のこと。 |
開講 | かいこう | 講座を開くこと。 |
開山祥忌 | かいさんしょうき | 宗祖・隠元禅師のご命日法要で、示寂された四月三日に実施される。他の臨済宗各派では毎齊忌と呼ばれている。 |
開山髪塔 | かいさんはつとう | 宗祖・隠元禅師の遺髪塔。滋賀県彦根市旧景徳寺境内の一角に建てられている。 高さ約二メートル。石碑正面には「開山大光普照國師琦老和尚髪塔」と彫られていることから、宗祖の國師号授与が公にされた以降に建立されたものであろうが、その由緒は不明である。 |
戒子 | かいし | 授戒を受ける人、即ち受戒者のこと。黄檗派が三壇戒会を始めるまでは授戒は僧侶となろうとする者が受けるべきものとされていたから、戒子は僧侶に限定されていたが、黄檗派が挙行した戒会は、僧俗分け隔て無く実施したことから、一般人も含んでいる。 |
開静 | かいじょう | 起床。開定とも書くが、正しくは開静。 |
解制 | かいせい | 安居の制を解くこと。 |
戒牒 | かいちょう | 授戒を受けた戒子に受戒証明として渡される証明書。中には、過去七仏以降、戒子までの伝法系譜を記したもの、授戒役位名を記したもの、得戒阿闍梨の詩偈等が入っている。 |
開枕 | かいちん | 臥具をのべ寝に就くこと。開被安枕の略。被はふとんのことで、ふとんを開いて、枕を安んずるの意。 |
開静(枕)太鼓 | かいちんだいこ | 就寝を促す合図である。黄檗山では毎21時、禅堂接版七・六・七の後に打ち鳴らされ、三十分にも及ぶ長いものである。その敲き方は、「七五三の刻み打ち」と称され、七ツ、五ツ、三ツを基調としたもので、どちらかというと陣中における触れ太鼓を想起させる。この敲き方は、後に祇園祭りの囃子や小倉祭り太鼓に採用されたというし、山鹿流の陣太鼓に採用されたといわれている。 |
魚梆(開板) | かいぱん | 黄檗山のシンボルのように扱われた木製の大きな魚。木魚の原型とされ、一本の丸太を魚形に彫刻し、側面を敲いて音が鳴るように胴をくり抜いた鳴り物法器。黄檗山のそれは一見鯉を連想させる姿をしている。 |
開浴 | かいよく | 浴室を開いて入浴すること。原則として四九日にある。 |
鶴裳衣 | かくしょうえ | あたかも鶴の羽根をかたどったように袖が羽根を広げたように丸くなり、縁を墨色でふちどっていることからこの名称がある。売茶翁が好んで着用していたとされ、茶会用、道中衣として用いられているが、最近では見かけることが少なくなってきた。 |
覚性円明国師 | かくしょうえんみょうこくし | 文政6(1823)年、隠元禅師の百五十回忌に際し、仁孝天皇から禅師に贈られた謚号 |
嘉興蔵版 | かこうぞうばん | 宗祖が渡来時に帯来された明版一切経の種類をいう。宗祖は、鉄眼が一切経の開刻を発願したことを木庵から聞き、大いに喜ばれ本人に偈と共に直接与えられたという。 |
華光大師 | かこうだいし | 昭和47(1972)年、隠元禅師三百年遠忌に際し、昭和天皇から禅師へ贈られた謚号 |
掛錫 | かしゃく | 行脚の雲水か僧堂に入ることを許され、錫杖(つえ)を壁のかぎに掛けること。つまり、雲水が僧堂に入門すること。=掛搭 |
加担 | かたん | 本山などで開山忌などが行なわれるとき、役配をうけ手伝うこと。また一般に手伝うの意。荷担とも書き、加役ともいう。 |
華誕会 | かたんえ | 在住の住持の誕生日をお祝いする日で、本山では、山内の僧が祝聖の諷経を行う。最近では、住持から、お礼の紅白饅頭が本院の職員に配られる。 |
華頂伝 | かちょうでん | 施餓鬼法要の伝授の一種で主として、江州地方の中で使われた言葉。華頂如秀が一派に伝えた法要方法といわれる。 密印等の所作が大ぶりで派手だったといわれている。これに対して観輪行乗が伝えた伝授法を観輪伝と言う。 |
合山鐘 | がっさんしょう | 黄檗山内の鼓楼(ころう)から開山堂につながる廻廊(新廊下)の途中にある釣鐘のこと。鐘楼の釣鐘は戦時中に供出されてしまったが、この合山鐘は宗祖・隠元禅師の銘が入っていたことから供出を免れたと言われている。毎月三日の開山忌、法皇忌等、開山堂で実施される法要時だけに鳴らされる。 |
掛搭 | かとう | 搭は搭鈎、すなわち、ものを釣るかぎのこと。初めて叢林に入る者が、衣鉢袋を僧堂の単の鈎に掛けたことから始まり、修行僧が一定の寺に止住することをいう。=掛錫 |
家風 | かふう | 家のならわし。その家で世々相伝えている風習、あるいは雰囲気のこと。転じて禅宗では指導者が修行者に対してとるおのおの独自の指導法。家風が歴史的な用法であるのに対して、境涯はより心理的な意味を含み主観的な心の状態をさす。 |
花米 | かべい | 落慶法要等の演浄儀で播かれる洗米に花片を混ぜたもの。 散華と同様の意味合いを持つ。 |
賀饅 | がまん | お祝いの紅白鏡餅のこと。 住寺晋山式等に壽位の間に供えられる。 |
加役 | かやく | 手伝うこと。=加担 |
勧学屋 | かんがくや | 了翁道覚禅師が売り出した錦袋圓という薬を販売した店舗名。 「江戸名所図絵」巻五には店舗図(下図)が掲載されているが、独特な構造であったことが知られる。 残念ながら関東大震災で被災し、消滅した。 |
看経 | かんきん | 声を出さないで経文を読むこと。または経を低声で読誦すること。 |
喚鐘 | かんしょう | 独参のときに参禅者を一人一人呼ぶために鳴らす鐘。通常は朝晩の二回鳴らされる。参禅者は順番を待ち、老師の室に入る前に喚鐘を二つたたいてから入る。 |
閑栖 | かんせい | 隠居した禅僧のこと。 |
龕薦堂 | がんせんどう | 僧侶の津葬儀において、霊龕を安置するための御堂のこと。葬儀の際に臨時に設置される建屋で基本的には屋外、本堂の正面に設けられる。二間間隔程度に四本の柱(または青竹)を立て、上部を白布で覆っただけの簡素なもので四門ともいう。 |
看頭 | かんとう | 食事の時の監督役。看頭の鳴らしものの合図で、飯台看(給仕役)も大衆もいっさいの動作をすすめる。 |
看燈の拝 | かんとうのはい | 中元法要中、各塔頭は、寿塔前廻廊に塔頭名を大書した提灯を掲げ、ここで猊下、塔頭院主、両序は毎朝拝をする習わしになっている。 |
看話禅 | かんなぜん | 師から与えられた公案を参究工夫して大悟に至ろうとする修行方法。総じて臨済宗の修行法。=公案禅 |
看板袋 | かんばんぶくろ | 僧堂名を染め抜いた頭陀袋のこと。 |
勘弁 | かんべん | 禅僧が修行者の力量、素質を試験すること。 |
帰院 | きいん | 僧院に戻ること。=帰山 |
規矩 | きく | 規則のこと。 |
喜捨 | きしゃ | 施すこと。浄財を喜んで施すこと。捨には報いを求めないという意がこめられている。 |
久参 | きゅうさん | 長い間修行している人。 |
饗応 | きょうおう | 檀信徒から馳走をふるまわれること。 |
境界 | きょうがい | 修行して到達した心の状態。境涯とも。 |
行住坐臥 | ぎょうじゅうざが | 行住坐臥を四威儀というが、日常の立居振舞すべてのこと。「立っても坐っても」「いつも」の意。 |
暁鐘 | ぎょうしょう | 明け方を知らせる鐘。 |
行道 | ぎょうどう | 誦経しながら堂内を巡ること。 |
金剛上師 | きんかんじゃんす | 施餓鬼法要の際、導師(中座という)が宝冠をかぶり脱ぐまでの間、勤める役を言う。「こんごうじょうし」とも読めるが、一般的には唐韻読みしている。 |
径山首出国師 | きんざんしゅしゅつこくし | 明和9(1772)年、隠元禅師の師である費隠通容禅師の百回忌に際し、後花園天皇から隠元禅師に贈られた謚号 |
錦袋圓 | きんたいえん | 了翁道覚禅師が販売した漢方薬の名称。 |
禁牌石 | きんぱいせき | 不許葷酒入山門 (くんしゅ山門にいるを許さず。」と書かれ、多くは禅宗寺院の門前に建てられた石碑のこと。今日では、禅宗以外の寺院でも見かけるが、もともとは、持戒を重要視する黄檗宗が最初に導入し、建てたものであると言われる。 |
経行 | きんひん | 坐禅のとき、睡気を防ぎ、足の疲れを休めるために行なう歩行運動。禅堂の周囲などを巡って歩く。 |
弘戒法儀 | ぐかいほうぎ | 隠元禅師が「黄檗三壇戒法要」の法式等の実施要領についてとりまとめたもの。 「戒経」ともいう。 |
供給 | くきゅう | 食堂において給仕をすること。 |
窟門 | くつもん | 中国様式の土塀に開けられた通り口。 黄檗山三門の両側に設けられた門はその様式をよく伝えている。正面に向かって右を通宵路、左側を白雲関と呼ぶ。 それぞれに聯額が掛けられている。 通宵路の聯は右が「眼底に疑有らば縦に歩することを休めよ」、左が「胸中に碍無ければ自ずから通宵」である。白雲関は右が「門外已に無差別の路」、左が「雲辺又一重の関有り」である。 |
工夫 | くふう | 修行に精進し、公案を究弁すること。 |
庫裡 | くり | 台所のこと。 |
桂巌門下 | けいがん | 即非如一法嗣・桂巌明幢門下から碩学禅者が輩出したことからこの名称がある。 |
警策 | けいさく | 坐禅時の励ましに用いる棒で、清規では「香版」と記載されているが、通常、使用している呼称は「警策」である。 |
警策 | けいさく | 警覚策励するための棒。 |
袈裟文庫 | けさぶんこ | 雲水が行脚中に携帯する荷物入れ。中には袈裟を入れ、その前に、持鉢、経本、カミソリを包んだ風呂敷づつみをゆわえつける。 |
偈頌 | げじゅ | 偈ともいう。漢詩の形体をとった法語のこと。 |
結跏趺坐 | けっかふざ | 結跏ともいう。坐禅のときの坐りかたの一。左右の趺(足の甲)を反対側の腿の上に交結して坐ること(単に片足を腿に安んずることを半跏趺坐という)。 |
結制 | けっせい | 安居の制を結成すること。 |
月台 | げったい | 大雄宝殿正面前に設けられた砂を敷いた広場のこと。法要を行う際の基壇で、白砂が一面に敷き詰められ、常に月光を受けるのでこの名がある。中国寺院の明朝様式の特徴の一つとされ、仏教の戒律と月を象徴する。 |
羯磨 | けもう | 懺悔の法要を言う。仏教で言うところの懺悔は、キリスト教等の懺悔とは異なり、これまでに犯した罪を悔い改め反省するだけにとどまらず、さらには未来に向かっても同じ過ちを犯すことのないように止断する決意を持つ意味が込められていて、「懺悔(さんげ)」と濁らずに読む。 |
玄関 | げんかん | 言妙なる(仏)道に入る関門。転じて公案、禅門に入ること。 |
献具 | けんぐ | 法要に先立ち導師が、本尊に供物等を供える法式をいう。ご飯、お茶、上供の油揚、箸、香資、疏の順を原則とする。なお、献具を途中で行う場合があり、これを中献具という。 |
見解 | けんげ | 修行者が師家の室内で呈する自己の悟境の表現。公案への見方、解答でもある。簡潔な言葉や動作で示される。理論にわたらぬことが大切である。見処ともいう。 |
見性 | けんしょう | 自性(自己の本心)を徹見すること。自己の生死の問題、または祖師の公案を契機として頓悟すること。開悟ともいう。 |
現成 | げんじょう | 眼前にあらわれている、すべての存在のありのままのすがた。あらわれること。 |
検単 | けんたん | 師家または直日が堂内を一巡して、坐禅の様子を点検すること。 |
鉗鎚 | けんつい | 鉗は金ばさみ。鎚は金づち。いずれも鍛冶が鍛錬に用いる道具であるが、転じて、師家が修行者を鍛錬すること。 |
軒鉢 | けんぱつ | 一軒ずづ軒並みに托鉢をすること。 |
献飯料 | けんぱんりょう | 末寺が法系の宿院に納入する維持費のこと。宿院によっては献米料、献香料などと呼ぶところもある。 |
顕法 | けんぽう | 法を嗣ぐ師匠から付偈を受け、臨済正宗(黄檗宗)の正統な嗣法者であることが宗門で確認され、黄檗宗門下の僧侶として『黄檗宗鑑緑』に登録されることをいう。 |
御案内 | ごあんない | 大接心中などに、まだ解答を見出せない新参者を、無理矢理に参禅に駆り立てる荒療治のこと。 |
公案 | こうあん | 元来は公府の案牘という意、つまり国家の法令または判決文をさす。祖師の言行や機縁を選んで、天下の修行者の規範としたもので、全身心をあげて究明すべき問題のこと。修行の正邪を鑑別する規準でもある。公案中の緊要の一句を特に話頭ともいう。 |
更衣 | こうえ | 衣がえのこと。五月十五日には夏用の麻衣、十月十五日には冬用の木綿衣に衣がえする。 |
江湖 | ごうこ | 江は揚子江、湖は洞庭湖をさす。各地から来集した多数の雲水。全世界。全国。 |
講座 | こうざ | 師家が語録、公案などを説くこと。提唱ともいう。 |
香讃 | こうさん | 黄檗梵唄の法式構成のうえで欠かせない節経で、法要の最初に誦まれ仏祖の慧命を敬仰する意を表す。 その種類がいくつ有るかは定かではないが、今日残され常用されているものだけで約三十種類以上ある。 |
交代 | こうたい | 役位の交代をすること。安居ごとに役位がふりあてられる。 |
高単 | こうたん | 単の順位が高いこと。禅堂では掛搭した順に単(坐る場所)が与えられるので、すなわち古参の修行者の意となる。 |
降誕会 | ごうたんえ | 釈尊がお生まれになった日、四月八日に行なわれる法会のこと。 |
香盤 | こうばん | 坐禅する時間をはかるための線香を立てる香台のこと。直日がこの香盤を預り管理するので、直日のことを香盤辺という。 |
合米 | ごうまい | 托鉢で米を集めること。 |
告報 | こくほう | 役位よりの通達、または訓示。 |
己事究明 | こじきゅうめい | 一大事をきわめつくす。 |
古則 | こそく | 仏祖の言葉、行ないで修行者の手本になる法則。 |
五体投地 | ごたいとうち | 五体、すなわち両手両足および頭を地につけて仏を礼拝すること。 |
乞食行 | こつじきぎょう | 托鉢のこと。 |
小拝の間 | こはいのま | 東方丈内の甘露堂に最も近い一室の呼称。 |
五仏宝冠 | ごぶつほうかん | 施餓鬼法要で中座(導師)が金剛上師の役目を果たす際にかぶる宝冠。五仏、即ち五智如来(釈迦、阿閃、阿弥陀、大日、宝生の各如来)が描かれていることから、このように称する。 |
護法三居士 | ごほうさんこじ | 黄檗山万福寺開創時に、宗門興隆に貢献尽力した三人の民間人を尊称したもの。 ・青木端山居士(重兼 摂津国麻田藩主、瑞聖寺、仏日寺、方廣寺) ・伊達肯山居士(綱村 陸奥国仙台藩主 大年寺、万寿寺開基) ・鍋島金粟居士(元武 肥前国小城藩主 星巌寺、玉毫寺開基 潮音道海禅師嗣法 金粟元明) |
胡麻豆腐 | ごまごうふ | ごまをすりつぶし、葛粉(または片栗粉)と酒等で練り上げ、豆腐状に固めたもの。通称「麻腐(まふ)」と呼ばれ普茶料理に欠かせない一品である。 |
後門 | ごもん | 禅堂の後入口のこと。二便往来など個人的に出入りする場合は後門を用いる。 |
後門辺 | ごもんへん | 侍者寮のこと。後門近くに坐るのでかくいわれる。 |
勤行 | ごんぎょう | 誦経すること。 |
金剛佛 | こんごうぶつ | 潮音道海禅師のことをいう。 |
昏鐘 | こんしょう | 日没を知らせる鐘。 |
菜器 | さいき | 漬けものを入れて供給する器。 |
西域木 | さいきぼく | 本山大雄宝殿等の建築に当たって将軍家から寄贈されたチーク材のこと |
斉座 | さいざ | 寺院内における昼食のこと。 |
斎座 | さいざ | 昼食のこと。 |
斎堂 | さいどう | 黄檗山伽藍の一宇で食堂のこと。 |
在檗 | ざいばく | 本山である黄檗山万福寺に滞在している期間のことをいう。 |
斎佛儀 | さいぶつぎ | 三世一切の諸仏から六道に輪廻する全てのものに対して、斎食を供え供養する法要。 本山では大殿上供と称し、毎月1日と15日の10時半頃から厳修される。 |
坐具 | ざぐ | 仏祖を礼拝するとき、これをのべて敷き、その上で五体投地の礼拝をする。平常は折りたたんでおく。 |
坐香 | ざこう | 坐禅を行うこと。 |
坐香 | ざこう | 坐禅の時間をはかるのに用いる線香。 |
差定 | さじょう | 諸行事の次第や配役をきめること。また、その掲示のこと。 |
生飯 | さば | 食前に、少量の食をとって鬼界の衆生に施すこと。飯は七粒を、麺は一寸を過ぎずとし、饅または餅は手の爪位の大きさとする。右手の拇指と薬指とを用いて飯をとり、左掌の上で三巡して飯台の上に置いて供える。 |
座拝 | ざはい | 宗門では法要は中国様式で、立ったまま厳修するのが原則である。当然寺院の多くの本堂は本山の黄檗山同様に土間様式であり、それが畳が敷かれた本堂であったとしても同様に立って読経するのを慣習としている。当然のこととして、読経時の礼拝は、「展具拝」が通例である。とはいえ、庫裏本堂など畳敷きの狭い本堂内では、立っての読経はおろか、展具拝は物理的にも不可能であることが多く、やむなく正座をしたままで拝を実施することがあり、これを言う。 |
生飯器 | さばき | 飯台の上に置かれた生飯を取り集める器。 |
生飯台 | さばだい | 正式には出生台(「しゅっせいだい」、「すいさんだい」とも読む。)と呼び、餓鬼や鬼神に食料を供養するための石製の台のこと。何時の頃からか生飯台が通常呼称とされた。 |
作白 | さびゃく | 法要において表白文(ひょうはくぶん。疏ともいう。)を読み上げること。 |
作務 | さむ | 務めを作すの意で、禅林における労働のことをいう。 |
茶礼 | されい | 行事の前に、茶を喫しながら打ち合わせをすること。 |
茶礼 | されい | 儀礼として茶を飲むこと。朝夕二回の茶礼は点呼の意味もあり、この時に一日の行事や作務の割り振りが通達される。役位茶礼、衆評茶礼は会議の意味ももつ。 |
暫暇 | ざんか | やむを得ない所用のために休みをもらうこと。通常、師親の大事以外は許可されない。二夜三日を越すものを暫暇という。 |
参究 | さんきゅう | 師の下に親しく参禅して一大事を究めること。 |
三汲池 | さんきゅういけ | 黄檗十二景の一。京阪黄檗駅より南へ約300mの所にあったとされ、隠元禅師が済物利生の意味をもって、これを広げ深くして干ばつを防ぎ放生をする池とされたと伝える。 |
懺悔経 | さんげきょう | 「八十八仏名経」、「慈悲水懺」、「観音懺法」が伝えられている。これらは、最初に「演浄儀」という法式で道場を浄め、次いで三宝に帰依する法式が勤められる。「八十八仏名経」では三十五仏で拝仏し、「慈悲水懺」では過去七仏で拝仏するのが特徴である。 |
懺悔の拝 | さんげのはい | 山内で犯した自己の過ちで他人に迷惑をかけた場合等に詫びをして廻ること。本山内での規矩は、戦前は非常に厳しく、特に開山堂における法要時の失敗などは、塔主寮へおもむき、謝りの拝をさせられたという。 |
三十三院 | さんじゅうさんいん | 本山塔頭で、以下の三十三所を言う。万寿院、聖林院、万松院、龍興院、宝蔵院、宝善庵、獅子林院、真光院、寿光院、天真院、別峰院、緑樹院、瑞光院、法林院、東林院、華蔵院、慈福院、紫雲院、長松院、慈照院(欠)、吸江庵(欠)、白雲庵(欠)、自得院(欠)、法苑院(欠)、大潜庵(欠)、龍華院(欠)、鳳陽院(欠)、崇寿院(欠)、華厳院(欠)、寿泉院(欠)、法恵院(欠)、漢松院(欠)、直指庵(欠) |
三真言 | さんしんごん | 回向時に諷誦する三種の真言をいう。変食真言、甘露水真言、普供養真言の三種の真言。 |
参禅 | さんぜん | 師家の室に入って自己の見解を呈すること。入室参禅ともいう。 |
三叢林 | さんそうりん | 宗門開創期における黄檗派の三大修行道場を言う。両足山大年寺(仙台)、護国山東光寺(萩)、龍峰山興禅寺(鳥取)をいう。 |
三壇戒会 | さんだんかいえ | 正式呼称は、「黄檗宗三壇戒会」であるが、当初は「黄檗宗大乗戒壇」と称され、南山律に基づく戒法で、初壇は沙彌戒(三帰戒 五戒 八戒 沙彌十戒法)、次壇は比丘戒(二百五十戒法)、三壇は菩薩大戒(菩薩十重四十八軽戒法)を授けるものである。 |
三通打ち下ろし | さんつううちおろし | 鐃鉢を打ち下ろす際は、香灯太鼓あるいは小鼓と合わせ、最初は大きくゆっくりと叩き、徐々にスピードを早め小刻みに叩いでいき、最後に打ち止めを行う。 これを一度だけで終えるのを「一通」といい、三回繰り返すのを「三通」と呼んでいる。 |
三通木魚 | さんつうもくぎょ | 大衆が読経を開始する際、合図として用いられる木魚のならしかた。読経の開始時は必ずこの「三通木魚」からスタートするが、この入り方が粗雑であると、法要全体の厳粛さを欠くこととなり、その速さ、強弱等一切をおろそかには出来ない。 |
参堂 | さんどう | 庭詰、旦過詰を済ませて僧堂に入ること。 |
三応 | さんのう | 師家の日常一切のことを世話する係。=隠侍 |
三応寮 | さんのうりょう | 三応の詰める役寮。=隠侍寮。 |
三拝 | さんぱい | 五体投地の拝を三度行うこと。今日では、問訊を三度行う場合も含めて言う。多くは仏法僧の三宝に拝をすることの意で用いられる。宗門では、典具三拝、即礼三拝などと三拝の方法も時、場所、目的によって使い分けている。 |
三筆 | さんぴつ | 宗門で三筆という場合は、黄檗三筆(隠木即ともいう。)のこと。ただし、書の世界では、「本朝三筆」(嵯峨天皇、弘法大師、橘逸勢)、「黄檗三筆」と区分けして言われている。 |
三仏忌 | さんぶっき | 釈尊の降誕会(お生まれになった日=四月八日)、成道会(お悟りを開かれた日=十二月八日)、涅槃会(亡くなられた日=二月十五日)のこと。 |
三宝讃諷経 | さんぽうさんふぎん | 宗門の在家回向法要時に霊前で諷誦する法式をいう。 |
三昧 | ざんまい | 公案工夫が熟し、深く禅定に入って、心身一如の状態になること。 |
三黙堂 | さんもくどう | 禅堂、食堂、浴室のこと。または、禅堂、浴室、東司のことをいう。この三カ所では語話談笑することが固く誡められている。 |
侍衣 | じえ | 衣鉢侍者の略。師家の衣服、資具、金銭を司る役。転じて、一派の管長の秘書役のこと。 |
知客 | しか | 僧堂に来る賓客の応接にあたる役。また、僧堂全体を取り締まる役。 |
持戒禅 | じかいぜん | 黄檗宗の禅風を端的に標榜した言葉であるが、むしろ黄檗宗祖・隠元禅師が教化のうえで最も強調されたことといったほうが至当であろう。宗祖は黄檗禅が正当の臨済禅であることを鼓吹され、殊に「三壇戒会 」や「放生」 を実施されるなど、戒律を重視する持戒の姿勢を事ある毎に強く打ち出された。また、「葷酒山門に入るを許さず」と記された「禁牌石(きんぱいせき)」を山門前に立て、目に見える形で持戒禅を標榜された。 |
知客寮 | しかりょう | 知客の詰める役寮。 |
直日 | じきじつ | 直は当と同義で、一日の幹事に当たる役を直日といい、もともとは一日交代で居舎、器具の営繕、一切の作務を掌る役の意。転じて現在では、禅堂内での坐禅の指導監督をする総取締りの役をいう。 |
直日単 | じきじつたん | 直日側の単。後門から入って右側の単をいう。 |
直指人心見性成仏 | じきしにんしん けんしょうじょうぶつ | 自己の心をまっすぐつかみ、自己の本性を徹見して悟ること。煩瑣な教学にとらわれないで、人間が本来持っている仏性を直ちに体得すること。 |
食堂 | じきどう | 食堂のこと。 |
四九日 | しくにち | 四と九のつく日。この日には剃髪をする。また開浴もこの日に行なわれる。 |
師家 | しけ | 伝灯の正師に嗣法した人で、参禅者の指導の任に当たる人をいう。 |
侍香 | じこう | 法式のときに住職に随侍して香合を持つ役。 |
誌公帽子 | しこもうす | 法会の際、公式出頭に住持、導師等がかぶる帽子の名称。唐帽子ともいう。 |
師資相承 | ししそうじょう | 師匠から弟子に法を伝えること。 |
侍者 | じしゃ | 本来は住持の世話、補佐をする役で隠侍と同じ意に用いられる。転じて、僧堂では堂内で、聖僧さんのお世話、堂内茶礼の世話、また病僧の世話などをする係のことをいう。 |
侍者寮 | じしゃりょう | 聖侍につかえる侍者のいる所。禅堂の世話役。 |
四聖 | ししょう | 万福寺山内の天王殿に祀られている「韋駄天」、伽藍堂に祀られている伽藍神(「華光蔵菩薩」のこと)、祖師堂に祀られている「達磨大師」、斎堂に祀られている「監斎緊那羅王菩薩」をいう。 |
止静 | しじょう | 坐禅のとき、大衆を寂静に止住せしめる時間。柝一声、引磐四声で止静に入るが、この間、身動きしてはならない。また、禅堂の出入りも一切許されない。 |
四聖諷経 | ししょうふぎん | 祝聖に於いて四聖を讃える諷経をすること。法式としては、監寺和尚が南無阿弥陀仏で経行し、前門敷居上の中央に置かれた香炉前の円座にまで進む。展具を見届けた維那は、拾い読みで四聖を称える陀羅尼を唱え、それぞれの結讃の諷経をする。監寺和尚は読経に添いながら、巡に四聖に向かって拝をする。 |
支度 | したく | 出頭、食事などのために禅堂を出る準備をすること。このときいわゆる「支度」の合図が鳴らされる。 |
七堂伽藍 | しちどうがらん | 仏殿、法堂、僧堂、庫裡、三門(山門)、浴室、東司のこと。 |
四朝国師 | しちょうこくし | 宗祖・隠元禅師は、四朝廷から国師号の謚号を受けられていることからこのように尊称されている。また、大正 6(1917)年 3月 7日に、大正天皇から 『真空大師』号が勅賜、昭和47(1972)年 3月27日には昭和天皇から『華光大師』号が加賜されている。 |
紙牌 | しはい | 要をするにあたって、仏教思想をわかりやすく表象するため、紙製の小さな旗を造り、シンボライズした説明を書き入れたもの。これを紙牌と呼び、主に施餓鬼法要等で用いる。 |
持鉢 | じはつ | 各自の所持する食器。正しくは応量器という。五枚一組で重ね合わせて収納できるようになっている。 |
自平石 | じへいせき | 隠元禅師にまつわる逸話の一つで、禅師45才の年、獅子巌で修行をされていた舟形の石が平らになったという逸話。 |
嗣法 | しほう | 師匠から仏法をうけつぐこと。 |
慈愍会 | じみんえ | 隠元禅師の誕生日である11月4日を記念し、森羅万象、万物全てを慈しみ感謝する法要。ところで、「慈愍」とは、授戒法要に多出する「慈愍故(慈愍したまう故なり)」の語句を連想する。慈愍忌と呼ぶこともあるが、「忌」は亡くなられた日をもとに使う言葉のため、誕生日であるこの慈愍会は「会」と呼ぶ。 |
著語 | じゃくご | 禅録の本則や頌などの句に、後世の禅僧によってつけ加えられた短評、コメントのこと。 |
叉手当胸 | しゃしゅとうきょう | 左手を外側にして左右の掌を重ね、右手をもって胸を掩うようにする。手を胸からやや離して、ひじを水平に張る。 |
謝労 | じゃろう | 慰労のこと。 |
上供 | しゃんこん | 仏前への供物をいう。広い場所では六味の供物を、狭い場所では四味の供物を供える。六味の場合は、本尊に向かって右から青色、黄色、油揚げ(または飛竜頭)、赤色、白色、黒色の野菜、乾物等を並べる。供え物は生物、乾物を三つずつとすることを慣わしとするほか、油揚げは必ず香炉の右と定められている。飾り付けも美観に配慮した独特なもので、竹串にさして縦向けに飾り付けることから「縦上供」と呼ばれている。 |
上首先行 | じゃんしゅせんひん | 宗門においては伝統的に行列の組み方についてはやかましいが、その雁行する際の並びかたの呼称の一つがこれ。 法要に出向く際、法階の上位者を先頭に進むことを言う。 今日でも唐韻で呼ばれる。 |
上香 | じゃんひゃん | 法要時等、仏前に火をつけた線香をあげる所作、あるいは、請拝した尊宿、布教師等に敬意を表して線香を持参し、出馬を願う作法。 |
汁器 | じゅうき | 汁を入れて供給する器。 |
十八羅漢 | じゅうはちらかん | 羅漢は本来1人であったものが16人に拡大され、何時の頃からか十六羅漢として流布するようになる。黄檗山の場合はさらに慶友尊者と賓頭盧尊者の二体を加え、18体あり、この点で通常と異なる。 |
衆評 | しゅうひょう | 僧堂の運営などについて役位が集まって打ち合わせをすること。 |
集米 | しゅうまい | 托鉢で米を集めること。=合米 |
宗紋 | しゅうもん | 黄檗宗の紋所は、「三葵」(ただし裏葵)とされている。 |
手巾 | しゅきん | 雲水が衣の上から腰のあたりに締める紐のこと。 |
宿院 | しゅくいん | 末寺から見た場合の自分の法系に当たる塔頭の呼称。 |
粥座 | しゅくざ | 禅宗寺院内における朝食のこと。 |
粥座 | しゅくざ | 朝食のこと。 |
祝聖 | しゅくしん | 聖寿(国王の寿命)無窮を祝祷すること。 毎月1日、15日の朝、勤行に先立ち、仏殿に於いて国家の昌平を祝い、国王の平安を祈る祈願の読経。 中国・南宋末時代から始まる。 |
祝聖 | しゅくしん | 毎月一日と十五日に天皇の聖寿無窮を祝祷すること。 |
祝拝 | しゅくはい | 毎朔望日、大祭日等に堂頭和尚はじめ、両序、禅堂等、山内の僧が法衣、法服を着用して、聯灯堂、開山堂、方丈等に上り、お祝いの典具三拝をして廻ること。 |
受業寺 | じゅごうじ | 師について出家者としての資格を得た寺のこと。 |
主懺 | しゅさん | 遶仏(繞仏とも書く。)、観音懺法等の法要時の導師をいう。 |
出格材 | しゅっかくざい | 万福寺の大雄宝殿および禅堂に使用されているチーク材の別称。この名称について、当のチーク材は、オランダ人が台湾において築城するための用材として調達されたものであったところ、運搬船が難破し、これを入手した貿易商・勝 性印が寄進をしたという不思議な因縁を経て万福寺に寄進されたことから、隠元禅師はこのように名付けられたという。 |
祝国開堂 | しゅっこくかいどう | 禅宗寺院に於いて、新たに晋山した僧が、法堂を開いて国家の安寧、聖寿無窮を祝祷し演法する行事。 |
十師の拝 | じゅっし | 授戒開始時に、堂頭和尚が諸阿闍梨(得戒師、革磨師、教授師、尊證師七位の計十位)と共に入壇し、戒壇仏祖に向かって献香、展具三拝をすること。 |
出頭 | しゅっとう | 行事・儀式などで本堂に出席すること。 |
守夜 | しゅや | 開枕時の夜回りのこと。守夜当番が守夜神の真言を唱え、大柝木を叩き火の用心と戸締り点検のために堂外を一巡する。 |
巡警 | じゅんけい | 巡堂警省のこと。坐禅の時、居眠りまたは懈怠(不熱心)の僧を戒めるために、警策を持って禅堂内を巡回すること。 |
小憩 | しょうけい | ひと休み。 |
相見 | しょうけん | 師家に面接すること。 |
照顧脚下 | しょうこきゃっか | 足もとに気を付けよ。日常の作法を規定どおりに正しく行なえの意。 |
聖侍 | しょうじ | 禅堂に祀られている文殊菩薩の世話係。また堂内大衆の世話係。=侍者(じしゃ)。 |
常住 | じょうじゅう | 坐禅専一の禅堂(堂内)に対して、庫裡にあって応接・会計・炊事等の運営面を処理する各寮をいう。 |
精進 | しょうじん | 努め励むこと。 |
聖僧 | しょうそう | 禅堂の中央にまつる像。通常、文殊菩薩を安置する。文殊は般若の智、さとりを象徴する。 |
上堂 | じょうどう | 師家が法堂に上って修行者に説法する。 |
成道会 | じょうどうえ | 12月8日、釈尊がお悟りを開かれた日に行なわれる儀式。 |
商量 | しょうりょう | 商も量も「はかる」という意味で、協議する、くらべはかる意になる。転じて師家と修行者との間で問答応酬して人生の一大事を明らめること。 |
初関 | しょかん | 一番最初に与えられる公案のこと。 |
書見 | しょけん | 書物を読むこと。 |
除策 | じょさく | 警策の使用が免除される休日のこと。通常、三仏忌、盆正月、祝日などに除策となる。 |
清規 | しんぎ | 清僧のための規矩の略。禅堂で衆僧が守るべき規則のこと。 |
嚫金 | しんきん | 布施。檀信徒から施されるお金のこと。 |
晋山 | しんざん | 新しい住持が初めて寺院に入ること。=入院。 |
新到 | しんとう | 新しく僧堂に入門してきた僧。新米のこと。 |
振鈴 | しんれい | 起床の時刻を知らせるのに用いる鈴。 |
垂誡 | すいかい | 師家の訓示。 |
随喜 | ずいき | 他人が功徳を積むのを見て、我がことのように喜ぶこと。転じて、賛成・助力、尽力などの意に用いる。随喜参加する…など。 |
随意座 | ずいざ | 堂内で直日の指導によらず、随意に坐禅すること。 |
水燈会 | すいとうえ | 戦前の黄檗山恒例事業として、宇治川で実施されていた川施餓鬼のこと。 |
随飯 | ずいはん | 規矩に則らずに、随時にとる食事のこと。 随意飯の略称。 |
随意飯 | ずいはん | 看頭、飯台看を立てない略式の飯台座(食事)のこと。 |
随意浴 | ずいよく | 正式な作法によらずに開浴すること。 |
誦経 | ずきょう | 看経ともいう。経典を唱和すること。経の内容を理解することよりも、余念をまじえず一心不乱に唱和することによって、心身一如をはかる。坐禅の助道、方便である。 |
頭陀袋 | ずだぶくろ | 頭陀行(乞食)のとき物を入れるために首から下げる袋。 |
制間 | せいかん | 結制と結制との間の休みのこと。 |
制中 | せいちゅう | 安居の期間をいう。今日では雨安居、雪安居の二期になっている。この期間外を制間という。 |
施餓鬼会 | せがきえ | 悪道に堕ちて飢餓に苦しんでいる衆生や餓鬼に食物を施す法会。=水陸会 |
摂心 | せっしん | 接心とも書く。心を内に摂めて散乱させないこと。禅宗では一定の期間中、集中的に坐禅すること。普通、僧堂では摂心は七日間とする。 |
禅堂 | ぜんどう | 坐禅、睡眠を行なう道場。狭義の僧堂と同じ意味。 |
洗鉢 | せんぱつ | 食事が終わって鉢を洗うこと。 |
専門道場 | せんもんどうじょう | 坐禅修行を専門に行なう場所。=僧堂、禅堂、叢林 |
禅林課誦 | ぜんりんかじゅ | 門で用いる勤行用経本。 雲棲袾宏禅師(蓮池大師、1535~1615)が万暦28(1600)年に編集した「諸経日課(誦)」が原型になっているというのが通説になっている。 |
総茶礼 | そうざれい | 雲水が一同に会して茶礼を行なうこと。 |
総参 | そうさん | 摂心中の参禅に独参と総参の二種あって、独参は見解があれば随意に入室する。総参は見解の有無に関わらず義務的に入室せねばならない。 |
僧堂 | そうどう | 禅門における修行の根本道場のこと。 |
叢林 | そうりん | 僧堂のこと。樹と樹が叢り、相競って天に伸びんとするように、修行者が互いに切磋琢磨するところから、かくいう。禅林ともいう。 |
即非蓮 | そくひれん | 即非如一禅師がもたらしたとされることから名付けられた蓮の一種。 |
即禮拝 | そくれいはい | 即(または速、觸)礼の即(速、觸)には速やかにとの意味があり、その場で直ちに行う拝のことをいう。 |
尊宿 | そんしゅく | 長老、高僧。 |
大根鉢 | だいこんはつ | 僧堂で漬物に用いる大根を托鉢して歩くこと。 |
大衆 | だいしゅ | 禅堂にとどまって修行している僧たちのこと。 |
柝木 | たく | 拍子木のこと。大小二種あって小柝木は禅堂内あるいは飯台座で用いられ、大柝木は禅堂外で用いられる。例えば、薬石の用意ができた時、開浴の時、守夜の時等。 |
托鉢 | たくはつ | 雲水が鉢を携えて、市中に食を乞うて歩く修行。 |
打坐 | たざ | 坐ること。坐禅。 |
塔頭 | たっちゅう | 本来は、禅院内に設けられた高僧の墓所のことをいう。のち転じて大本山などの大寺院内にある独立寺院のことを指す。 |
単 | たん | 禅堂において各自が坐る座席のこと。単位ともいう。「坐って半畳、寝て一畳」といわれるように、畳一枚の場所が生活の場となる。 |
旦過詰 | たんがづめ | 専門道場に入門を志願する僧は、すぐに玄関から上がることは許されず、三日間ほど、朝から晩まで大玄関の上がり口で低頭して入門を請わなければならない(庭詰)。この庭詰を終わって初めて旦過寮に上がることを許されるが、ここでさらに、五日間ほど面壁して詰めなくてはならない。 |
旦過寮 | たんがりょう | 旦過詰をする部屋。本来、諸方遊歴の修行者が禅院に一夜投宿する部屋のこと。夕方に到着して、朝(旦)に去るのでこの名がある。 |
単頭 | たんとう | 直日単に向かう単の上座に坐り、指導監督にあたる役。 |
単頭単 | たんとうたん | 直日単に対し、単頭の座のある側の単。後門より入って左側の単。 |
単票 | たんぴょう | 禅堂内の自分の坐る単の上方にかけられた名札。 |
単蒲団 | たんぶとん | 禅堂内で坐禅および夜具として用いる蒲団。柏餅のようにくるまって寝るところから「柏蒲団」ともいう。 |
中和井 | ちゅうわせい | 開山堂付近は元、後水尾法皇のご生母、中和門院の隠棲された屋敷跡で、大和田御殿と称されていたところである。 後、近衛家の所領となっていたが、黄檗山が建立されることとなり、喜捨された。隠元禅師は、宮跡の遺された井戸を修理され、「中和井」と名付けられた。 |
朝課 | ちょうか | 朝の読経、諷経のこと。 |
頂相 | ちんそう | 禅僧の上半身を描いた画像。古来、これに賛、法語を書いて弟子に嗣法の証拠として与えた。 |
通玄門 | つうげんもん | 開山堂に通じる正門。 中国様式の建築法により建設された門。 |
提唱 | ていしょう | 禅宗の宗匠が、修行者に向かって、祖師の語録や古則中より宗要(宗旨)を提起し唱導すること。講座と同義であるが、より専門的な用語。 |
提撕 | ていぜい | 是も撕もともに「ひっさげる」の意。師家が修行者を指導し、誘引すること。また工夫参究するの意にも用いられる。 |
提灯 | ていちん | 手さげあかり。ちょうちんのこと。 |
低頭 | ていとう | 仏祖・師家に対して、額を地につけて礼拝すること |
天井粥 | てんじょうがゆ | 朝食に出される粥のこと。時として極端に薄く、水っぽく、天井が映るところからこの名がある。目玉粥ともいう。 |
殿司 | でんす | 仏殿のことを司る役。また、時報を司る役。僧堂では、開静の振鈴、朝課、またその他の法式を司る。 |
殿司寮 | でんすりょう | 殿司の詰める役寮。 |
典座 | てんぞ | 炊事を掌る役。 |
典座寮 | てんぞりょう | 典座の詰める役寮。 |
展鉢 | てんぱつ | 食事のとき、布に包んだ持鉢をひろげること。 |
唐韻 | とういん | 日では「黄檗宗で用いる昔の中国音」の意で使用され、宗門では今でも多くの言葉を使用している。ただし、黄檗宗に伝わった中国音は、明末期に福建省で使用されていた福建語(閩南語(びんなんご))、あるいは南京官話(明代から清代にかけて官吏が使った共通語。華南広州辺りの方言。)とされている。 |
湯器 | とうき | お湯または茶を入れて供給する器。やかん。 |
同夏 | どうげ | 同じ夏に入門した同寮どうしのこと。 |
銅磬 | どうけい | 一般に磬子(けいす)と称される、法要で使用する鳴り物法具。 |
同参 | どうさん | 一人の師家の下で、ともに学び修行する者同志。 |
冬至当夜 | とうじとうや | 毎年12月22日の冬至の夜は、臘八の厳しい修行を終えた、修行僧(雲水)たちのお祝いの日とされている。 |
役宿 | とうしゅく | 行脚の僧が寺院に一夜の宿泊をすること。 |
東司 | とうす | 厠・便所のこと。七堂伽藍の一つに数えられる。 |
塔前の拝 | とうぜんのはい | 年忌等の法要時、本来は石塔(墓碑)へも礼拝すべきであるが、天候やその他の事情でゆくことが不可能な場合は、法要が一旦終了した後、その場所で知客等の「塔前の拝」の発声により改めて展具三拝することをいう。 |
堂内 | どうない | 禅堂内のこと。また禅堂内において、専ら坐禅修行をする雲水のこと。 |
登檗 | とうばく | 黄檗山萬福寺へ登ることをいう。 |
豆腐羹 | とうふかん | 中国風豆腐。日本の豆腐よりさらに水分を抜き、固めたもの。隠元禅師来朝と共に伝来し、一般に黄檗豆腐といわれる。ごま豆腐とはまったく別ものである。黄檗山の普茶料理には必ず使用されている。 |
冬夜 | とうや | 冬至の前夜のことで、冬至冬夜ともいう。臘八後のこの晩は、普段厳禁の薬水(酒)も許され、破天荒な「無礼講」が行なわれる慣わしである。 |
独参 | どくさん | 公案に対する見解をもって単独で師家に面接すること。 |
得度 | とくど | 出家すること。 |
戸帳 | とちょう | 黄檗山大雄宝殿および禅堂の正面入り口に吊り下げられた映画スクリーン状の大きな幕(白い布の周りを黒い布で縁取りしてある)のこと。中国では暖簾(ヌァンレン)と呼ばれ、日本の「のれん」の原型となったもので、扉代わりに用いられている。宗門系の寺院でも、黄檗山以外には見かけない。 |
那伽定 | なかじょう | 那伽とは梵語で、龍のことを言う。龍は常に静止して思念をするということから、龍像(禅門では僧のことをこう呼ぶ。)が禅定する様をこれにたとえ、「那伽大定」と呼ぶ。 転じて、檗僧が遷化に際し、霊龕を荘厳する場をいい、「那伽定」と大書した紙を、霊龕を安置する鴨居に貼付するのが慣わしとなっている。 |
中太鼓 | なかだいこ | 黄檗宗の読経法式は、香讃、読経、結讃を基本とする。この中で、梵唄(節経)と称される鳴り物が入る部分はほとんどが最初と最後の部分であるが、読経の中程で、梵唄が入るときがある。 この時に打たれる太鼓のことを中太鼓と称する。 |
中単 | なかたん | 修行年限の長い方から順に、高単、中単、末単という。 |
南無阿弥陀仏 | なむおみとふ | 宗門では六字名号を唐韻で唱え、行堂するのが慣習となっている。 |
二祖三仏忌 | にそさんぶつき | 宗門のみならず、禅宗にとって重要な祖師を祀るための法要を言う。 黄檗清規・報本章に記されている。二祖とは禅宗祖師である菩提達磨と禅宗叢林の基礎を開いた百丈懐海を指す。三仏忌とは釈尊の生誕、成道、涅槃をお祝いする法要のことである。 |
入室 | にっしつ | 修行者たちが師家の室に入り、師の指導鍛練をうけること。=入室参禅 |
日天作務 | にってんざむ | 毎日行なわれる寺院内外の清掃のこと。 |
二便往来 | にべんおうらい | 二便(大小便)のために禅堂を出ること。抽解中に許される。 |
二夜三日 | にやさんじつ | 新旧役寮の交代が終わって、旧常住員たちに与えられる慰労休暇のこと。二泊三日の外出が許される。 |
入制 | にゅうせい | 安居(学期)に入ること。 |
遶仏 | にょうぶつ | 法要の名称。八十八仏を讃え、仏の周囲を囲繞するように、堂内を練り歩くことからこの名がある。 |
如法 | にょほう | 定められた法規に合った形で動作すること。 |
庭詰 | にわづめ | 修行者が僧堂に入門する時に、必ず通過しなければならない検問。庫裡の大玄関で終日低頭し、入門の願いを乞わなければならない。通常、二日から三日行なわれる。 |
涅槃会 | ねはんえ | 二月十五日、釈尊が亡くなられた日に行なわれる儀式。 |
涅槃金 | ねはんきん | 僧が行脚に出るとき、病気や不慮の死によって他人に迷惑をかけないため、予め袈裟文庫の中に入れておく若干の金銭。葬式をするための金。 |
練り返し | ねりかえし | 制中の大摂心の後に行なわれる一週間の平常接心のこと。大接心中の不備を補う目的で行なわれる。 |
念経 | ねんきん | 読経のことをいい、唐僧がよく使った。 今では広く勤行をすることをもいう。 |
拈提 | ねんてい | 古則公案を提起して修行者に示すこと。またそれを工夫参究すること。 |
拝懺 | ぱいさん | 正月および中元の三日間、あるいは授戒時に、道場を清浄にしてから八十八佛名を称して、一仏毎に梵香礼拝して懺悔する法要。 |
唄讃 | ぱいさん | 梵唄を諷誦することをいう。 |
拝敷 | はいしき | 住職が礼拝を行なうときに用いる敷物のこと。 |
拝請 | はいしょう | 礼拝懇請の略。師家や長上の僧を迎えること。 |
拝席 | はいせき | 導師が展具拝を行うために設けられた席。 |
拝太鼓 | はいだいこ | 法要を始める際、本尊に向かって経衆が一斉に三拝をする時の合図に打ち鳴らす太鼓のことをいう。 |
梅湯 | ばいとう | 梅干しを煮出して、甘味を加えたもの。 |
梅湯茶礼 | ばいとうざれい | 朝の一番、朝課、堂内諷経の終わった後、堂内で行なわれる。 |
拝班 | ぱいぱん | 法要終了前後に、衆僧が相互に慰敬の拝を交わすことで、黄檗宗独特の作法である。引磬の合図で上位、下位、正面に向かって三度感謝の問訊をする。引磬二声の場合は、そのまま上位先行(上首先行)で他の堂宇または方丈へ向かう合図となる。 |
拝票 | はいひょう | 儀袋の上に貼り付ける名前等を記した札のこと。 |
報鐘 | ぱうちょん | 山内における法要時の合図は、大鐘、半鐘、あるいは雲版等を鳴らし、また時には太鼓を交えて報ずる。つまり、この合図の鐘類の音を総称して「報鐘」と言うが、今日では主として半鐘の合図のことをいう。なお宗門では「報鐘」を敲くことを「刻む(きざむ)」という。 |
檗僧 | ばくそう | 黄檗宗の僧籍を持つ僧のこと |
檗門 | ばくもん | 黄檗宗門のこと。 これに対して、臨済宗を「済門下(さいもんか)」と称した。 |
檗林 | ばくりん | 黄檗叢林の意。 |
把住 | はじゅう | ひっつかまえて、ぴたりとおさえこむこと。師家が修行者を指導する手段の一つ。転じて、僧堂の経理における「収入」のこともいう。 |
把針灸治 | はしんきゅうじ | 衣服のつくろいをしたり、身体の治療を行なったりすること。摂心の始まる前日に与えられる身心整備の日のこと。 |
派祖忌 | はそき | 黄檗山各塔頭開山忌のこと。 |
鉢回向 | はちえこう | 施餓鬼や大般若転読会等の法要時、最終盤に行われる黄檗宗独特の梵唄法式のことで、特に鐃鉢が重要な役割を果たすところからこの名が付けられている。 |
鈸子 | ばっす | 単にバツとも言う。 仏殿太鼓の四本柱角に置かれた、繞鉢に似た小型のシンバル様の鳴り物。 |
跋陀婆羅菩薩 | ばっだばらぼさつ | 入浴せんとして悟りを開いたといわれる菩薩。そのため僧堂では浴室に祀られている。 |
末単 | ばったん | 単の一番下座の方。すなわち、そこに坐る新参のことをいう。 |
法堂 | はっとう | 法堂は、禅宗に於いては最も重要な建物で、説法の道場である。 黄檗山の法堂は、酒井忠勝(空印居士)の遺命により寄進、建立されたもので、当初は「円通殿」と称されていた。 |
法堂 | はっとう | 七堂伽藍の一つ。住持が仏にかわって説法する場所。一般の禅寺での本堂に当たる。 |
板 | はん | 禅堂の前門に下げられ、日に数度、時を知らせるために打たれる。 |
晩課 | ばんか | 夕刻の読経、諷経のこと。 |
半跏趺坐 | はんかふざ | 半跏ともいう。坐禅法の一。 |
飯器 | ばんき | 飯を入れて供給する器。おひつのこと。 |
飯台 | はんだい | 食事に用いる台。 |
飯台看 | はんだいかん | 食事の給仕当番。 |
泮池 | はんち | 本山放生池の別称。泮池は、池の形状からの呼称。 |
飯子 | はんつー | ご飯のこと。 |
飯幡 | はんばん | 「唵唖吽」と記した五色の幡のこと。 箸に付け、施餓鬼の序盤で餓鬼壇に備えた白飯にさし、餓鬼衆にこの箸で施食を受けることを促す。 この飯幡が付けられた箸で施食を受けた餓鬼衆に、三宝に帰依し、成仏するとされている。 |
引手 | ひきて | 托鉢などのときの指導者。 |
緋沓 | ひぐつ | 正式な法衣を着用する時の唐様沓(靴)で、和尚分上の僧のみが履くことを許されている。 |
毘尼壇 | びにだん | 授戒時に引請阿闍梨等の役位が坐る壇をいう。 |
評席 | ひょうせき | 長年の修行を積んだ古参の修行者をいう。またこの中から、知客、副司、直日、聖侍の役が選ばれるので役位とも同義に用いられる。 |
病僧寮 | びょうそうりょう | 病を得た修行者が療養するところ。=延寿寮 |
瓢箪懸魚 | ひょうたんけぎょ | 懸魚とは神社仏閣の屋根に取り付けた妻飾りのことである。黄檗様式の建築の特徴として挙げられるものに、この懸魚部分の瓢箪型くり抜きがある。 |
毘盧壇 | びるだん | 施餓鬼法要に於いて設置する位牌壇のこと。 |
行堂 | ひんたん | ・知客、典座と連絡を取り合って準備、役職を司る役職。 ・普茶料理等の食事時に使用する飯器、汁器。 |
兄弟 | ひんでい | 同一の師家の下で修行した、法の上の兄弟のこと。 |
副司 | ふうす | 元来、住職を補佐する役職(=副寺)。僧堂では、会計を司る役職も指す。 |
副司寮 | ふうすりょう | 副司のいる役寮。 |
伏拝 | ふくはい | 宣疏中、あるいは読経中等の法要時に、霊前または相手に対し、畏敬の念を表し、座具を述べて低頭拝を行うことをいう。 |
普請 | ふしん | 衆僧がそろって勤労すること。 |
副随 | ふずい | 庶務係。作務、集米の予定や割りふり、接待、貼案などを行なう。 |
副随寮 | ふずいりょう | 副随のいる役寮。 |
仏性 | ぶっしょう | 生命あるものが生まれながらにして持っている仏としての本性。 |
仏餉 | ぶっしょう | 仏前に供える米飯。仏飯。 |
仏殿幡 | ぶつでんばた | 七如来幡のこと。 |
普度勝会 | ふどしょうえ | 在日華僑が盂蘭盆会に実施する先祖供養のための施餓鬼法要。 福建省では、盂蘭盆会のことを「普度勝会」または「普渡勝会」とよぶのが一般的である。 |
普度帳 | ふどちょう | 施餓鬼法要に際して、参詣者からの回向のための施行内容を記した帳面のこと。 |
不立文字 教外別伝 | ふりゅうもんじ きょうげべつでん | 文字、言説を立てず、文字言説による教説の外に、別に直ちに心から心に(以心伝心)仏祖の悟りを伝える。 |
分散 | ぶんさん | 一会終了して修行者一同が分かれ去ること。 |
分衛 | ぶんねい | 托鉢のこと。 |
弁事 | べんじ | 私用で外出を許されること。通常、二夜三日以内をいう。 |
放行 | ほうぎょう | 師家が修行者を指導する手段の一つ。一切を許し与えて、自由に任すこと。転じて、僧堂内の経理における「支出」のこともいう。 |
飽参 | ほうさん | 充分に会得すること。悟りを開いて参ずる必要のなくなること。 |
放参日 | ほうさんび | 入室参禅のない日のこと。 |
方丈 | ほうじょう | 維摩居士が一丈四方の部屋に住んでいたという故事から転じて、寺院の住職の居室をいう。さらに転じて寺の本堂を指す。また、住職のこともいう。 |
傍門 | ぼうもん | 大雄宝殿にはいくつかの入り口があり、それぞれに名称がつけられている。 この内、正面中央の両側、あるいは両側面の全部につけられた入り口を傍門と称する。 |
法臘 | ほうろう | 出家してからの年数。 |
菩提 | ぼだい | さとり。さとりの智慧。さとりの境地。また俗に冥福の意にも用いる。 |
法鼓 | ほっく | 法要、提唱などの出頭の合図として用いられる。 |
法戦 | ほっせん | 師家と修行者が問答するさまを戦いになぞらえてかくいう。 |
梵壇石 | ぼんだんせき | 月台の中央に置かれた長方形の石。 戒を犯した僧を置いて無言の懲罰を与えるために用いる。 罰跪香頂石ともいう。 |
梵唄 | ぼんぱい | 黄檗宗に伝承されている鳴り物の法具を効果的に用いた独自の声明。誦経の全ては唐韻読みで、かつ鳴り物法具のテンポに合わせて読誦する中国情緒豊かな読経形態である。 |
本飯 | ほんぱん | 規矩に則った、食事作法のこと。 |
本飯 | ほんぱん | 正式の食事作法による食事のこと。 |
本浴 | ほんよく | 正式な作法にしたがって風呂に入ること。 |
摩伽羅 | まから | 摩竭魚とも書く。魔除けとして黄檗山総門の屋根に乗せられた想像上の動物。 鯱に似ているが鰭(ひれ)の代わりに足が生えており、インド辺りにその原型が求められるという。女神の乗り物として喩えられた、ガンジス川に棲息するワニだと言われている。 |
卍崩し勾欄 | まんじくずしこうらん | 黄檗山の勾欄(手すり)や半扉には卍の模様が組み込まれているが、これが異国風の雰囲気を倍加している。この装飾は法隆寺の堂塔以来、他に類例を見なかったもので、黄檗独特の装飾とも言われている。 |
曼拏囉 | まんなら | 施餓鬼法要の際に、須彌盛りの段で用いる宝鏡のこと。 |
三具足 | みつぐそく | 仏前に配置される、香炉・花瓶・燭台の三種類をいう。花瓶・燭台が各一対と香炉一口の五つを五具足という。 |
蜜湯 | みっとう | 梅干しの果肉をほぐし砂糖を入れ煮たお湯。 疲れを癒し、喉を潤す作用があることから、施餓鬼や授戒法要等の長時間法要時、あるいは茶礼時に伝統的に利用されている。 |
向扶座 | むこうふざ | 施餓鬼の法座に着席する僧侶のうち、東単側最上席者(即ち、大趺坐の正面)を言う。 |
鳴磬三拝 | めいきんさんぱい | 導師や尊宿が出班焼香時等に、磬子を合図に展具拝を行うことをいう。 |
名単 | めいたん | 法要に当たって作成する随喜僧侶の役位分担を記した表。 |
免礼 | めんれい | 祝拝時に、宿院へ伺うことを免除されることを言う。 |
亡者戒 | もうじゃかい | 授戒を受けたいのに受けられずに故人となってしまった人(亡者)のために、授戒を行うことをいう。 |
帽子 | もうす | 中国風帽子のことで、誌公帽子が正式名称である。 唐韻で「マオツ」とも、唐帽子とも言う。 |
帽子 | もうす | 僧が法式のときに着用する帽子のこと。 |
黙照禅 | もくしょうぜん | 曹洞系の只管打坐の禅風を称してかくいう。 |
木祖忌 | もくそき | 木庵性瑫禅師の祥忌を言う。 |
木板 | もくはん | =板(はん)を参照。 |
桃戸 | ももど | 黄檗宗の建築物に多く用いられている正面入り口の観音開きの半扉。桃の彫刻が施されていることから、この名がある。なぜ桃の図柄が彫られているかについて、中国では桃が『桃符(タオフー)』といって魔除けによく使われていることから魔除け説が有力であるが、招福説もあり判然としない。 |
文殊菩薩 | もんじゅぼさつ | 禅堂内に祀られる。通常、聖僧という。 |
問訊 | もんじん | 掌を合わせ、体を曲げて礼拝すること。 |
門送 | もんそう | 禅門での送迎の礼式のひとつ。客を門の外まで出て見送ること。 |
門牌 | もんばい | 法要開催の道場であることを示すために、一枚一字あての文字を書き入れた紙製で作られた幡風の標識。 |
薬石 | やくせき | 夕食のこと。 中国では昔、禅僧は朝、昼の二食生活を行っていたが、いつの頃からか「薬」代わりと称して夕刻に食事をする習慣が出来、この名称が使われ出したと言われる。 |
薬石 | やくせき | 薬はくすり。石は石で作った針のこと。転じて薬剤の総称、あるいは病気の治療をいう。仏門では、正午を過ぎてから食事をとることを許さなかったので、修行者の飢えをいやして修行を成就させるための薬として夕食をとった。したがって禅門では夕食のことを薬石という。 |
野狐禅 | やこぜん | 真の悟境に達していないのに自ら得法の禅者のようにふるまう似而非禅のことをいう。 |
夜坐 | やざ | 開枕後、ひそかに禅堂を出て、樹下、石上等で自発的に坐禅すること。 |
山鹿流陣太鼓 | やまがりゅうじんだいこ | 儒学者であった山鹿素行は、隠元禅師と面談し、また木庵禅師に参禅したことがある。黄檗山に於いて、かつて聞いたことのない「七五三の刻み打ち」 の開枕太鼓を聞き、この打ち方を陣太鼓に取り入れればきっと志気を鼓舞できるに違いないと考え考案したのが「山鹿流陣太鼓」だと伝えられている。 ただし、根拠立てるものはない。 |
唯心の浄土 己身の弥陀 | ゆいしんのじょうど こしんのみだ | 黄檗宗・宗制第一章第五条・教義の段に出てくる言葉で、「本宗は参禅を以って仏心を究明し、唯心の浄土、己身の阿弥陀仏を体得し禅教一如により転迷開悟 安心立命を期するを教義とする。」とある。 |
瑜伽焔口科範 | ゆがえんこうかはん | 宗門の施餓鬼法要で用いる経本名。 雲棲袾宏(うんせいしゆこう)禅師が著述した上下二巻からなる経本で、口に咒を唱え、手に印を結び、心を観相する顕密両具の法式となっている。 |
浴頭 | よくじゅう | 浴室の当番。 |
絡子 | らくす | 両肩をとおして胸に掛ける小型の袈裟。掛絡ともいう |
立拝 | りっぱい | 起立合掌し、低頭する挨拶方法。 袈裟を着用するときは、座具を両手親指と人差し指の間にかけ合掌低頭し、三拝ないし一拝する。 改良衣等、略衣の時は、親指と人差し指の間に朱扇を挟み礼拝する。 |
龍象 | りゅうぞう | すぐれた力量の修行者のこと。 |
龍目井 | りゅうもくせい | 檗十二景の一。 黄檗山総門前広場にある左右二カ所の井戸のこと。 寛文元(1661)年冬、隠元禅師が掘られた井戸で、自らこれを「山に宗あり水に源あり 龍に眼あり 古に耀き今に騰る 雲を興し雨を致して 以て民時に及ぼす 源頭澄徹 昼夜 間を靡し 以て民の用とするに足る故に名く」と記されている。 |
隣単 | りんたん | 隣の単に座る修行者のこと。 |
輪流十三院 | りんるじゅうさん | 隠元禅師没後の寛文13(1673)年、法孫が議定し、禅師の隠居所である松隠堂(「別院」、当初「開山塔院」とも称されていた。)は、塔頭の内から特定の塔頭十三院が輪番制で管理することを決定した。 この塔頭名を総称してこう呼ぶ。 「輪中十三院」と呼ぶこともある。十三院とは、瑞光院、萬松院、東林庵、華蔵院、漢松院、法苑院、慈福院、法林院、紫雲院、宝蔵院、景福院、華厳院、宝善庵の十三院をいい、万寿院と獅子林院は特別扱いされ、当初から除外されていた。 |
琉璃燈 | るりとう | 六角形をした中国製吊灯籠。周りを薄地の絹や繻子、絽を張った木枠で囲み、灯具本体が消えないように瑠璃製の覆いで覆っているのでこの名がある。 常時吊り下げ式の固定型と必要の都度、随時組立る移動型とがある。 |
列班 | れっぱん | 法要時等、雁行する際に、法階順に東序、西序別(両序)の二列に並ぶこと。 |
老師 | ろうし | 師家に対する尊称。親しく教えを受けた者は、老漢と呼ぶこともある。 |
臘八 | ろうはつ | 臘は歳末の意。すなわち十二月八日、釈尊成道の日のこと。また、十二月一日から八日まで行なわれる臘八大摂心の略称。 |
六扶座 | ろくふざ | 施餓鬼法要に於ける導師を補佐する6人の役僧をいう。 即ち、大扶座(維那)、向扶座、相扶座(悦衆)、相扶座(副悦)の四扶座に繞鉢2名を加えた6人を言う。 |
椀頭 | わんず | 食器の出し入れを管理する係 |
黄檗 | わんぺぇ | 「黄檗」の唐韻読み。 |