【レポート】未来の住職塾NEXT 受講録 vol.4
未来の住職塾も残すところ今回を含めてあと2回です。全5回の講義もあっという間に過ぎてしまいます。
「具体化する」現在地と目的地を明確化し戦略を構築する
というタイトルの講義となります。今まで以上にヘビーな課題が出されております!その課題に丸1日以上費やし、取り掛かりました。自坊における事業計画書(草案)の作成です。お寺で事業計画書?とおもわれる方もいらっしゃるかもしれませんが、事業とはいわないまでも、お寺にも”計画”が必要です。その計画を練るためにはまず現在地を見ることが必要というわけです。禅ではよく「いまここ」といいますが、まさに自坊がどのような地にいて、どこへ向かうのか、それを考え、行動に移していく第一歩となります。
PEST分析
PEST分析とは、世の中の流れ(=マクロ環境)が自社(お寺)にどのような影響を与えるかを分析するフレームワークのことです。
PEST分析の目的は世の中の流れを、
- Politics(政治的要因)
- Economy(経済的要因)
- Society(社会的要因)
- Technology(技術的要因)
の4つの切り口で分析し、事業計画上の機会と課題を発見するために行います。お寺でこのようなビジネスフレームワークを用いることは通常皆無です。しかし、この住職塾では、その”考え方”を用い、自坊に応用させることで新たな発見を見出します。その中のSociety(社会的要因)の部分において、自坊のある地域周辺を調べてみました。その分析の「人口減少・流出」部分をご紹介します。
人口減少・流出
自坊のある千代田町だけでなく、周辺4地域を加味した上で数値を出してみました。いずれのデータも「RESAS 地域経済分析システム」にて作成しております。
超高齢化社会と騒がれて久しくないですが、この地域も待ったなしの状況であることが目に見えてわかります。約20年後の2040年には老年人口比率が約40%となってしまうのです。人口約1万人の小さな町なので、それほど大きく前後はしませんが、明らかに経済に大きなダメージがあることは間違いないでしょう。そうした未来予測に対してどのような計画を立てていくか。そこが問われてくるわけです。
ミッション・ビジョン・バリュー
ベンチャー企業などでは馴染みのあるこの「ミッション・ビジョン・バリュー」ですが、これまたお寺となるとこのような言葉を掲げているお寺はまずいないのではないでしょうか。このお寺のミッションはなにか。このお寺のビジョンはなにか。このお寺のバリューはなにか。そんなこといままで考えたこともないわけです。ですが、これらを定めることによって、お寺の向かうべき方向性、そして判断軸が生まれてきます。その事象に対してどのように対応するのか、その基準となり、非常に重要な指針となります。ホームページに掲載できる日が来るように検討を重ねていきたいと思います。
ケーススタディ・コンサルティング
この他にもさまざまなビジネスフレームワークを活用し、自坊の分析を行っていきます。そして、この講義では、1つのお寺をモデルケースとして選び、チームでコンサルティングを行います。これがなかなか難しい。まずそのお寺の状況をヒヤリングし、どのような状況に置かれているのかがわからなければ、議論を進めることすらままなりません。なれないながらも脳みそをフル回転させ、議論を重ねます。他のお寺さんからの視点も非常に有効であり、参考になることが多々あります。それらも取り入れつつ、事業計画書をさらにブラッシュアップしていきます。
まとめ
限られた時間の中で数多くのインプットをし、そして、アウトプットをする。自坊にいるだけではなかなか経験することのできないかけがえのない時間を過ごすことができています。そして、残すところ後1回。2020年1月をもって、この未来の住職塾 NEXT R-1が閉講となります。まだまだ荒削りなところが多い状況ではありますが、閉講後も、考え続けることがなにより大事なことと思います。今後とも皆様の御指導御鞭撻のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
合掌