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【お坊さんの寺めぐり】黒滝山不動寺

  • 宗派:黄檗宗
  • 中興:1675年
  • 中興開山:潮音道海禅師
  • 中興開基:高源元泉|市川圓慶|白石了源|小柏一灯
  • 本尊:釈迦牟尼仏

今回は、施餓鬼法要のためこのお寺を訪れました。かつては中本山とされたお寺で、山奥にありこれぞ、お寺!というイメージそのもののお寺です。お寺までにいくにはもはや専用道路とさえ呼べる一本道をひたすら登ります。ですが、お寺の近くには十分な駐車スペースがないため、麓の集会所で合流し、乗り合わせてお寺へ向かいます。その集会所から車で5〜6分ぐらい登ると到着です。標高700メートル弱。いまでこそ車ですーっと登ることができますが、中興開山した当時(江戸時代中期)のころはこれをみな歩いて登ったのでしょうからとてつもないことです。そして、このお寺は宝林寺中興開山でもある潮音道海禅師が中興したお寺であり、当時は潮音道海に数多くの僧侶が参禅したといいます。しかし、いまとなっては、このお寺のある地域自体が消滅可能性都市ワーストランキング全国1位という状況であり、人里離れた状況におかれています。我々黄檗宗の僧侶にとって非常に重要なお寺でありますが、その未来は過酷なものとなってしまうのでしょうか。

消滅可能性都市

消滅可能性都市とは、人口流出・少子化が進み、存続できなくなるおそれがある自治体を指します。民間の有識者らでつくる日本創成会議(座長・増田寛也氏)が2014年に指摘したもので、厳密な定義は「2010年から2040年にかけて、20 ~39歳の若年女性人口が 5 割以下に減少する市区町村」となります。全国の市区町村1,799のうち、896がこれらに該当すると推計されており、全体の約半数を占めています。

引用:https://www.amita-oshiete.jp/qa/entry/015042.php

消滅可能性都市ワーストランキング|2014年発表

順位 都道府県 市区町村 若年女性人口変化率(2010→2040)
1位
群馬県
南牧村
89.9
2位
奈良県
川上村
89.0
3位
青森県
今別町
88.2
4位
北海道
奥尻町
86.7
5位
北海道
木古内町
86.5

このランキングが表すようにワースト1位なのです・・・人里離れたお寺としてはその価値が最大限発揮される環境ではあるのかもしれませんが、檀家寺ではないため地元の方や信者さんが守ってくれている状況です。という少々悲観的な見方をしましたが、このお寺の持つ価値、魅力はすばらしいです。まずはその眺望と県指定天然記念物から。

黒滝の眺望

根回り10メートル、目通り6.6メートル、高さ約41メートル、枝張り東西約15メートル、南北約17メートルととても大きく、写真に入り切りません・・・この周辺は岩山で樹木の生育には向かない地形なのですが、数百年の樹齢はあるのでは、とのこと!

大スギ

この大スギをすぎると山門です。ここでも扇垂木の登場。なんだか包み込まれるような感じがします。柵の下はすぐに崖です。

不動堂・黒滝・天女窟

ここ標高700メートルです。山門までたどり着くには車1台(ハイエースが限界ぐらい)の道幅しかなく、トラック入れないレベルです。この御堂含めだいたい江戸時代中期の建立です。もちろんトラックなんてありません。そして、彫刻にしろ一切の妥協なし。細部までこだわりがあります。老朽化が進み屋根は当時のものではなく、かなり傷んできていたりはしますが・・・

不動堂

そして、不動堂の裏には、、、!なんと!滝があります。山号の「黒滝」は岩盤が黒いことから名付けられたと施餓鬼法要に参列いただいていた地元のおじいちゃんが言っていましたが、真相やいかに。

ここ最近は雨量も多いせいか、滝の水量も多く、マイナスイオンたっぷりでとても涼しい場所でした。ここで滝行できますね(笑)そして、さらにこの巌壁の奥に、天女窟と呼ばれるところがありました。そこには以下のように書かれています。

弘法大師伝承の爪堀り不動の磨崖仏あり。潮音禅師が入山するまで、ここを道場として真言密教の修行者たちが滝に入り山谷を駆け、日夜励んだと伝わる。潮音禅師をこの山に迎えた祖源和尚は滝行20年の記録を残す。潮音禅師この岩窟に貞享5年に弁財天を祀り、天女窟と名付けた。

黄檗のお寺となる前は真言密教の修行場だったということですね。そして、いまは枯れてしまっていますが、この奥のくぼんでいるところはおそらく昔は水が溜まっていたものと考えられます。滝壺から水筋がうっすら残っており、この窟につながっています。いまは土や枯葉で埋まってしまっていますが、いじったら水が流れ込むのかな?とふと思ってしまいました。そして、弘法大師のお話も。またまた地元のおじいちゃん。この南牧村には弘法大師が足を運んだと言われていて、弘法大師が来ると水害が収まったり、水が湧いたりする伝説が多く残っているが、逆にここは日本でも数少ない弘法大師によって「枯れた」川があるとのこと。何やらモーゼステッキのようなお話をされていました(笑) はてして、これまた真相やいかに。

大雄寶殿・開山堂

大殿の写真は撮り忘れてしまいましたが、不動堂から臥龍橋と呼ばれる滝壺から流れ込む川にかかる橋を渡ると大殿(本堂)があります。ご本尊はお釈迦様。このお釈迦様は京仏師康祐作とのことで、宝林寺本尊と同じ系統の仏師によるものです。とても柔和な表情ですね。よくみると台座と本尊があっておらず、蓮華座が本来あったのでは・・・。そして、この彫刻。すばらしいの一言。

そして、最奥部には開山堂があります。さらに急な石段を登ります。この開山堂の勾欄は卍崩しですね!この裏もまた滝まではいかないまでも湧き水が流れいて、とても清々しい空気が流れています。この開山堂の屋根には、徳川の葵の御紋と菊の御紋が並んでいる・・・!写真を見る限りたしかに十六葉ありそう。まだまだ知らない歴史がたくさんありそうだ。

そして、気になるのがこの開山堂の前にある石塔。左右対にはなっていません。さらに、この支柱部分が4人のお不動さん?になっている。こんなの初めてみました。どれもこれも意匠が非常に凝っています。寶筺塔の屋根部分は垂木まで彫られている。すごすぎる。

寶筺塔
石塔

細かくよくみると素晴らしい意匠が数多くあるこのお寺。天井絵もだいぶ傷んでしまっていますが、至るところに残っています。そんなこのお寺で完全にデジタルデトックスできる環境つくったら、もしかしたら現代人とって、非常にリラックスできる非日常の空間になるのでは、とふと思ってしまいました。簡単にいけるお寺ではありませんが、ぜひとも足を運んでみてください。

黒滝山不動寺

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